パルマス島事件判決はオランダに冊封された大酋長による間接的支配を有効とする (標準版)
尖閣諸島日本領論者には、中国の琉球王国に対する冊封を中国独自の茶番で国際法上の効果が無いと考える者もいるようだが、「パルマス島事件」判決はオランダの植民地支配を代表する ( オランダ ) 東インド会社 (注1) によるパルマス島の近くの大きな島であるサンギ島の二人の大酋長に対する「冊封」と冊封された近隣の大島であるサンギ島の大酋長によるパルマス島に対する間接的支配を有効と認めている (注2) (注3-1) (注3-2) (注4-1) (注4-2) 。
この事を、尖閣諸島領有問題に当てはめると、中国は冊封使船だけでなく琉球王国の進貢船 (朝貢船) 等を含めて尖閣諸島について数百回の利用 (実質的に巡回を兼ねる) があった事になる。
黄尾嶼 (久場島) ・赤尾嶼 (大正島) についての詳細な解説は 詳細版 を参照してください。ただし、非常に複雑で難解な議論を展開しています。
2016年11月28日 (2016年9月20日・当初版は こちら 。)
御意見・御批判は対応ブログ記事・[ パルマス島事件判決は冊封による間接的支配を有効とする 浅見真規のLivedoor-blog ] でコメントしてください。(注1) 植民地経営に関してオランダを代表する事がオランダ成立時の条約で認められている。
(注2) 『判例国際法』 [ 第二版 ]・松井芳郎 編・東信堂・(2006年5月20日初版第1刷発行)中の「パルマス島事件」解説p.126-130参照。
>首長はその領国を宗主権者である会社またはオランダ国家から封土として授与されるとする。
(注3-1) [ 島の領有と経済水域の境界画定 ] ( 芹田健太郎 著・有信堂高文社・1999年6月3日初版第一刷 ) の「補章 島の領有権をめぐる仲裁判決の研究」 ( p.291-292 ) 参照。
>当該領主(prince)が宗主国である東インド会社またはオランダ国家の封土として自己の領地(principarity)を受領しているという観念に基づいている。
(注3-2) [ 島の領有と経済水域の境界画定 ] ( 芹田健太郎 著・有信堂高文社・1999年6月3日初版第一刷 ) の「補章 島の領有権をめぐる仲裁判決の研究」 (p.295-296) 参照。
>このようにして原住民国家に対する宗主権は、国際社会の他の構成員に対する領域主権の基礎となる。
>一定の時期に主権の存在のための要件が満たされているかどうかの問題を決定するのは、
>このようにして原住民の当局者か殖民国家の当局者のいずれかに分配された機能の総和である。
http://legal.un.org/riaa/cases/vol_II/829-871.pdf
または、
(下記PDFファイルの26画面目)
https://pcacases.com/web/sendAttach/714
参照。
>they are all based on the conception that the prince receives his principality
>as a fief of the Company or the Dutch State, which is suzerain.
(注4-2) 「パルマス島事件」 判決原文 (p.858-859)
http://legal.un.org/riaa/cases/vol_II/829-871.pdf
または、
(下記PDFファイルの28画面目)
https://pcacases.com/web/sendAttach/714
参照。
>And thus suzerainty over the native State becomes the basis of territorial sovereignty
>as towards other members of the community of nations.
>It is the sum-total of functions thus allotted either to the native authorities
>or to those of the colonial Power which decides the question
>whether at any certain period the conditions required
>for the existence of sovereignty are fulfilled.