新聞記事から入学試験問題出題と不合理な差別の危険

 

 朝日新聞と読売新聞は大学入学試験において自社の新聞記事から出題が多いと広告し、大学受験生の親の弱みにつけ込んで販売増を画策している(注1)

大学入学試験においては文学作品や評論等からの出題もあるが、出題率の高い文学作品や評論は公立図書館で貸し出しを受けれる場合も多く受験生が借りて熟読も可能な場合も多い。大手の日刊の全国紙は公立図書館に常備されていて閲覧は可能ではあるが、借り出しができない事と事実上まとめ読みが困難な事から自宅で購読していない場合には少なくとも毎週図書館で閲覧せねばならない。自宅で購読していない受験生にとってこれはかなり苦痛である。

また、大学入試問題では、中小規模の公立図書館に存在しない書籍からの出題もあるが、中小規模の公立図書館に存在しない特定の個別書籍からの出題確率は低いので入学試験での出題の可能性のために読むとすれば労力に効果が見合わないので入学試験のためにそういう珍しい書籍を読むとは考えにくい。つまり、中小規模の公立図書館に存在しない書籍を読む受験生は受験のためでなく自己の興味のために読むのであって、仮に出題されても受験生の読書嗜好や適性を反映したものになり合理的差別である。しかし、新聞の場合には受験生の嗜好でなく家庭の都合で購読紙が決定される。

ここで、大学入学試験において出題確率の高い新聞が出題確率の低い新聞より優れていて、それが大学が新入生に求める教養・適性に必要なら特定新聞からの出題も止むを得ないと言えるが、実際にはそうではない。

たとえば、大学入学試験において出題が多いと自負して広告する朝日新聞(注1)であるが、盧溝橋事件(1937年7月7日)の約2週間後の1937年7月20日に「時まさに北支事變勃発し」として、軍用機献納運動を提唱し、もって世論を扇動し、現地兵力や補給に不安のあった日本政府が蒋介石主席の「最後の関頭」声明に応じて譲歩する可能性を封じた積極的戦争責任がある(注2)

しかし、朝日新聞は日本の敗戦後の1945年11月7日に「国民と共に立たん」という小さな記事で戦争責任を謝罪しているが、そこで謝罪したのは軍部・政府に強制されて虚偽報道した事の受動的戦争責任のみで、軍用機献納運動提唱に代表される積極的戦争責任の謝罪はしていない(注3)

朝日新聞は一見すると日本の敗戦後に方針大転換したように見えるが、実は問題の本質は変わっていない。昔も、軍や政府から虚偽報道を強制される以前から、軍から記事のネタの無料提供を受け、その受け売りで取材の手間とコストを省いた。今でも、無料で情報提供してくれる団体や機関からの受け売りの疑いがある。実際、私自身が朝日新聞のホームページのasahi.comでの(ペルーが大使召還の原因とした)フジモリ元ペルー大統領関連のニュースについての誤りを指摘しても朝日新聞はわけのわからない開き直りをして記事の訂正をしなかった。この場合も外務省筋からの情報の受け売りであった(注4)

結局、大手新聞社が無料で情報提供してくれる団体や機関から受け売りをして情報の正確さよりコスト削減を優先させれば、「悪貨が良貨を駆逐する」事になり、日本のマスコミ全体の報道姿勢がおかしくなるのである。さらに、そういう大手新聞の記事が大学入学試験に多用され、それをセールスポイントにして受験生の親の弱みにつけ込む宣伝がなされれば、日本全体のマスコミの質の低下につながりかねない。

さらに、朝日新聞は朝日新聞購読者層が高学歴・高所得だとするデータをも宣伝に使っている(注5)が、そのような宣伝と受験に出題されやすいとする宣伝があいまって大学受験生に低学歴・低所得の人々への潜在的差別意識を植え付ける危険もある。

それだけでなく、大手の朝日新聞や読売新聞からの出題の確率が高いと、それが客寄せになって独占が進む危険があり、言論の画一化の危険もある。


受験生のための対策方法

 

大学には大学の自治が保障されているので、たとえ国公立大学であっても入試問題作成について政府は介入しにくいので、志望大学の入試問題作成機関(注6)に新聞記事から出題しないように「請願書」(注7)を出すしか効果的方法は私には思いつかない。請願は憲法で保障された権利なのでぜひ活用されたい。ただし、請願しても改善される保証はない。また、憲法や請願法では「請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」と規定されているが、請願は実名でなせねばならず受験生本人が請願した場合、入試や入学後に秘密裏に不利益を受ける危険が絶対に無いとは断言できないので、危険だと思う場合にはその大学を受験しない友人に「請願書」を出してもらえば良い。志望大学の入試問題作成機関が不明な場合には学長宛てに出しても良いと思われる。

 

「請願書」の文面を考えるのが面倒な場合、私が「請願書」ヒナ型を作成したので印刷のうえ必要事項記入して利用されたい。

 

(友人が受験生の代わりに請願する場合の)請願書ヒナ型  (入試問題作成機関 用、マイクロソフトワードファイル)

(受験生本人が請願する場合の)請願書ヒナ型  (入試問題作成機関 用、マイクロソフトワードファイル)

(友人が受験生の代わりに請願する場合の)請願書ヒナ型  (学長 用、マイクロソフトワードファイル)

(受験生本人が請願する場合の)請願書ヒナ型  (学長 用、マイクロソフトワードファイル)

 

マイクロソフトワードが無い場合、下記のページを(余分なヘッダーやフッターが印刷されないように(注8)して)印刷されたい。

 

(友人が受験生の代わりに請願する場合の)請願書ヒナ型  (入試問題作成機関 用)

(受験生本人が請願する場合の)請願書ヒナ型  (入試問題作成機関 用)

(友人が受験生の代わりに請願する場合の)請願書ヒナ型  (学長 用)

(受験生本人が請願する場合の)請願書ヒナ型  (学長 用)


(注1) たとえば、朝日新聞HP・「ガンバレ高校生!asahiguma.com | 朝日新聞は出る! 〜朝日新聞は大学入試に強い!!〜」参照。

http://www.asahiguma.com/asahishimbun/02.html

読売新聞HP・入試に出る読売新聞の傾向と対策 : 教育ワンダーランド@よみうり : YOMIURI ONLINE参照。

http://www.yomiuri.co.jp/education/nyushi/index.htm

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(注2) 私のHPの下記のページ参照。

 軍用機献納運動提唱し日中全面戦争を扇動した朝日新聞の戦争責任はA級戦犯より重い。

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(注3) 私のHPの下記のページ参照。

朝日新聞1945年11月7日「国民と共に立たん」には戦争扇動の謝罪が無い

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(注4) asahi.comの元の記事は消え、朝日新聞の記事には当該段落がないので

朝日新聞と提携関係にある人民日報HP日本語版ニュースへの転載記事でその実例を示す。

 

フジモリ氏、日本大使館員と接見 チリ・ペルーは疑義 (人民日報HP日本語版・asahi.com記事転載記事)

http://j.peopledaily.com.cn/2005/11/10/jp20051110_55023.html

>大使館からは、柴崎参事官のほか2人が同席。

>・・・・・(中略)・・・・・

>面談は、自国民保護などを定めた

>ウィーン条約に基づいて行われた。

>・・・・・(中略)・・・・・

>小川大使は「ふつうの日本人が出国する時、

>相手国に連絡することはない。

>私もニュースで初めて知った」

 

ここで、柴崎参事官は一等書記官より上位の外交官であり、外務省人事課・米内氏及び領事局・政策課・新通(しんどおり)氏に電話で確認したところ、領事職の発令も チリ外務省へ領事としての名前の通告も無く「領事関係に関するウィーン条約」第3条・36条・第70条2項に違背するので、記事の「面談は、自国民 保護などを定めたウィーン条約に基づいて行われた。」とする部分はウソなのであるが、朝日新聞は訂正に応じず、逆に開き直った。

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(注5) 朝日新聞HP・DATA Web 2005 朝日新聞の購読者の特性 参照。

http://adv.asahi.com/2005/reader/

>高学歴・高所得・ホワイトカラーが朝日新聞購読者の特徴

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(注6) 「入学試験委員会」のような名称の場合が多いと思われますが、電話で正確に聞いてください。特に「・・・・・学部」という名称が付くかどうか確認してください。尚、大学にもよりますが簡単に教えてくれない場合もありますので、その際には「友人が受験する予定だが新聞記事から出題されないように請願書を差し出したいから」とか言うと教えてくれると思います。

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(注7) 憲法・第16条 (河原一敏 さんの法林HP)

http://list.room.ne.jp/~lawtext/1946C.html

>何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は

>改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願を

>したためにいかなる差別待遇も受けない。

 

請願法・第6条 (河原一敏 さんの法林HP)

http://list.room.ne.jp/~lawtext/1947L013.html

>何人も、請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

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(注8) たとえば、ブラウザーがIEの場合には、上部の操作パネルの「ファイル」→「ページ設定」でヘッダー欄・フッター欄を空欄にしてください。

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2005年12月3日

浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp

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