(注意)これは、閲覧用ではありません。これは、過去記事保存資料用です。最新版を御覧ください。
下関条約調印書の改竄防止用の綴じ紐は切断されていた
下関条約 (日清講和条約) の調印書が国立公文書館のウェッブ・サイトで公開されている。
http://www.archives.go.jp/exhibition/digital/modean_state/contents/nisshin-war/index.html
日本の民間の不動産売買契約書冊子や複数枚に及ぶ内容証明郵便冊子等の日本法上の法的効力を有する書類の冊子の一体性の証明と改竄防止には「契印」 (注1) が用いられているが、欧米では「契印」の習慣が無いためか欧米で発達した国際法の条約の調印書の冊子は一体性の証明と改竄防止のため調印書冊子の綴じ紐を「封蝋」 (注2) (注3) したり刻印シールを貼ったりしている。
国立公文書館で画像が公開されている 下関条約 (日清講和条約) の調印書末尾の画像 (p.14) には改竄防止の刻印シールが綴じ紐の上に貼られている (注4) 。尚、綴じ紐は比較的丈夫そうに見える。
ところが、その前の清朝中国の全権代表の署名のページ開きの下の紐穴に綴じ紐が通っていない。これは綴じ紐が切れている事を意味する。(ただし、明治時代に履行されて用済みになっているので日本政府が改竄防止用の綴じ紐を切断したとしても、それだけでは国際法上は全く問題は無い。)
尚、調印書の綴じ紐が薄いリボン状の弱い紐の場合は、何度も閲覧している間に擦り切れる場合もある。実際、条約締結後の1940年に廃棄された1911年・日米通商航海条約 (小村条約) の調印書は綴じ紐が薄いリボン状の弱い紐が使われ、破棄された事により保管が杜撰だったためか擦り切れている (注5) 。しかし、下関条約 (日清講和条約) の調印書の綴じ紐は丈夫そうなので擦り切れたとは考えにくく、意図的に切断された疑いがある。意図的に切断された場合には附属地図が調印書冊子から取り外され分離された疑いが生じ、台湾の地図が現存しないのは当初から無いのではなく隠匿された疑いも排除できない。
付記:
下関条約 (日清講和条約) の調印書の画像を公開している国立公文書館のレファレンス担当者に、調印書のシール画像を公開するなら、閲覧者の誤解を招きかねないので、綴じ紐が切れている事を明記して注意喚起するよう本日要請した(2016年12月19日)。レファレンス担当者は綴じ紐が切れている事は理解したようである。
2016年12月19日
御意見・御批判は対応ブログ記事・[ 下関条約調印書の改竄防止用の綴じ紐は切断されていた 浅見真規のLivedoor-blog ] でコメントしてください。(注1) 顧問弁護士相談広場ホームページ記事・[ 契約書の署名・捺印についても押さえておこう ] 参照。
https://www.komonhiroba.com/agreement/signature-and-seal.html
(注2) wikipedia「封蝋」参照。
https://ja.wikipedia.org/wiki/封蝋
(注3) 「封蝋」された条約調印書の例として国立公文書館で画像が公開されている「日露講和条約(調印書)」がある。
(注4) 日本側が保存する調印書のシールがなぜか日本の刻印になっている。清朝中国が自前の刻印シールも封蝋用スタンプも持参しなかったのかもしれない。
(注5) 国立公文書館で公開されている1911年・日米通商航海条約 (小村条約) の調印書の画像参照。
(1911年・日米通商航海条約 (小村条約) の調印書の表紙の画像)
(1911年・日米通商航海条約 (小村条約) の調印書の署名・シール部分の画像)