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 錯誤の原因が日本の不正にある場合は中国は無効主張可能

 

   中国の人民日報が尖閣諸島は琉球諸島に属するとした記事や中国本土及び台湾の地図で国境線が誤って引かれていたのは勘違い (錯誤) が原因です。国際法上、十分に調査をしたはずの条約ですら錯誤 による無効の主張ができる場合があります。中国の人民日報が尖閣諸島は琉球諸島に属するとした記事や中国本土及び台湾の地図で国境線が誤って引かれていた原因は日本にもあるので無効主張できると考えられます。

   

中国 (北京政府及び台北政府) の錯誤の原因として、少なくとも下記の原因が考えられます。

 

(1) 冊封使船の航路を琉球人を信じて琉球人に任せていたので、日本政府による武力的な琉球併合によって冊封使船の航路の目標にしていた釣魚嶼・黄尾嶼・赤尾嶼の同定が困難になってしまった。(これは武力的併合なので現代国際法では責任を日本は負わされます。)

(2) 第二次世界大戦終結直後に中華民国政府に日本が台湾を返還した際に日本領だった台湾に釣魚嶼・黄尾嶼・赤尾嶼が含まれておらず、そのまま信じた中華民国政府が失念してしまった。(これは日中双方に過失が認定されるでしょう。)

(3) 1919年に尖閣諸島で漂流し魚釣島 (釣魚嶼) の古賀善次氏の漁業事務所で保護・救助された中国漁船員達に関して保護・救助・送還に関する中国への通知で日本政府が1920年に「和洋島」という架空名称を使った事により、以前、清朝末期に中国に亡命した琉球人達や中国政府が「尖閣諸島」に中国領だった「釣魚嶼・黄尾嶼・赤尾嶼」が含まれている事を気付く機会が無くなった。(1920年なら冊封使船や進貢船の乗船経験者が存命していたので「魚釣島」という正式名称なら下関条約以前は中国領だった釣魚嶼だと気付いた可能性が高かった「和洋島」という架空名での通知だったので気付かなかった。)

(4) 清朝中期の18世紀に、中国に来ていたイエズス会のGaubil神父がフランス本国のイエズス会に送った地図でHoapinsu (花瓶嶼) とPngkiachan (彭佳山) の順番が入れ替わり、1787年にはフランスのラペルーズ調査隊が更にHoapinsu (花瓶嶼) とTiaoyusu (釣魚嶼) の順番を間違え、それが欧米の海図で定着したため、中国は緯度・経度が正確な欧米の近代的地図・海図を見ても、釣魚嶼 (Tiaoyusu) がHoapinsuと表示されているため同定できなくなってしまった。

(5) 釣魚嶼・黄尾嶼・赤尾嶼の正確な緯度・経度データが無かったという中国側の過失があった。

(6) 釣魚嶼・黄尾嶼・赤尾嶼の識別可能なスケッチが存在しないという中国側の過失があった。(ただし、水墨画風の絵は存在したが識別不能だった。)

(7) 黄尾嶼・赤尾嶼については形状・大きさ等の島を識別しうる文章表現が存在せず、釣魚嶼もわずかな文章表現しかなく、単に島名のみの語感の印象と航路の順序と大雑把な距離・針路しか識別・同定の手がかりがなかった。これも中国側の過失である。

(8) 北京政府や台北政府の領土管理担当者も人民日報の記者も中国本土や台湾の地図作成者も冊封使録を読んでなかったと考えられる事。これも中国側の過失である。

 

   中国側にも御粗末な領土管理の過失が存在するものの、日本が航路を把握していた琉球王国を武力的に併合した事は、中国が平和的に琉球の宗主国となった事を合わせて考えると、現代の国際法では錯誤無効が認められると考えられます。


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20216年9月23日

浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp