無料アクセス解析

登録NGSデータの分析によるトリソミー指摘に対する疑義

   私が6月11日付け日経サイエンス号外記事の遠藤高帆氏のマウスのstrainの誤りを指摘した直後の6月30日頃に、NCBIのサイトからNGSデータが削除された事に抗議します。NGSデータの復元を求めます。


参考資料

日経サイエンスの号外記事・[STAP細胞・元細胞の由来 論文と矛盾]

http://www.nikkei-science.com/wp-content/uploads/2014/06/20140611STAP.pdf

 

NCBIのサイトで登録されたSTAP関連のNGSデータ

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sra/?term=SRP038104   (この記事の当初版作成直後に消去されました)


疑義

日経サイエンスの号外記事・[STAP細胞・元細胞の由来 論文と矛盾]には下記の疑義があります。

(1) 2014年6月11日付け・日経サイエンス・号外記事PDFのp.1の図(上掲)によれば、当該STAP細胞のX染色体は図中で赤色で示される129系統で、Y染色体が図中で青色で示されるB6系統のため、当該STAP細胞のstrainは「129B6F1」である事を意味します (注1) 。

ところが、NCBIのサイトでのSTAP細胞関連のNGSデータの登録 (この記事の作成直後に消去されました) でのSTAP細胞を示す「Low pH treated CD45 positive Cells」 (注2) の個別サンプルのデータのstrainは、全て「C57BL/6 x 129/sv」すなわち「B6・129」であり、日経サイエンスの号外記事と当該細胞を採取したマウスの親の性が逆でした。これらのNCBIサイトの記事は削除されましたが、「DNAnexus」というサイトにSTAP細胞のNGS登録状況に関する資料が残存していて、STAP細胞のstrainは全て「C57BL/6 x 129/sv」として登録された事がわかります。(ただし、データ本体は無くなっており、ダウンロードできません。)

NCBIの「Low pH treated CD45 positive Cells(弱酸処理したCD45陽性細胞)」のサンプル・データのurlは下記のとおり。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/biosample/SAMN02393430 (この記事の作成直後に消去されました)  尚、「DNAnexus」に残存する登録資料はこちら

>strain C57BL/6 x 129/sv

←のサムネイル画像をクリックすると再現画像が表示できます。

 

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/biosample/SAMN02393436 (この記事の作成直後に消去されました)  尚、「DNAnexus」に残存する登録資料はこちら

>strain C57BL/6 x 129/sv

←のサムネイル画像をクリックすると再現画像が表示できます。

 

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/biosample/SAMN02393448 (この記事の作成直後に消去されました)  尚、「DNAnexus」に残存する登録資料はこちら

>strain C57BL/6 x 129/sv

←のサムネイル画像をクリックすると再現画像が表示できます。

 

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/biosample/SAMN02393449 (この記事の作成直後に消去されました)  尚、「DNAnexus」に残存する登録資料はこちら

>strain C57BL/6 x 129/sv

←のサムネイル画像をクリックすると再現画像が表示できます。

 

尚、「2ちゃんねる」掲示板の「STAP細胞の懐疑点 PART485」スレッドでの議論を「よくある質問(FAQ)」として、リンクを下に示します。

http://wc2014.2ch.net/test/read.cgi/life/1403968546/51

http://wc2014.2ch.net/test/read.cgi/life/1403968546/56

http://wc2014.2ch.net/test/read.cgi/life/1403968546/88

http://wc2014.2ch.net/test/read.cgi/life/1403968546/100

http://wc2014.2ch.net/test/read.cgi/life/1403968546/304

 

(2) 少なくとも、germline transmission確認されたマウスはトリソミーではないはず。

germline transmission確認したとarticle論文にあり、そのマウスの写真も載ってます。

article論文Fig.4e参照。

http://www.nature.com/nature/journal/v505/n7485/fig_tab/nature12968_F4.html

 

(3) 遠藤高帆氏のトリソミーの主張はNGSのmRNAデータによるものでmRNAは状況によって発現量が大幅に異なります。同じ核酸の分析でも決定的なDNAの分析とは証拠としての価値が全く異なります。

 

(4)[モザイク型トリソミーと識別が困難な事]

 

小保方はNCBIへのNGSデータの登録では、(STAP幹細胞は保存していた物を使用したと仮定すれば)NCBIへのNGSによるSTAP細胞データの登録ではSTAP幹細胞の作成が不要のためSTAP細胞作成で通常は数匹使用する仔マウスの解体を1匹だけにした可能性があります。実験動物を不要に解体しないのが良識ですし、小保方に手抜きの習性があるからです。

よって、たまたま解体した1匹の脾臓のCD45陽性細胞の8番染色体だけがトリソミーだったなら症状の軽いモザイク型トリソミーだった可能性があり、人間の子供でもモザイク型8番トリソミーは生きて生まれる事が多いです (注3) 。

 

日経サイエンスの号外記事・[STAP細胞・元細胞の由来 論文と矛盾]

http://www.nikkei-science.com/wp-content/uploads/2014/06/20140611STAP.pdf

>8番トリソミーのマウスは通常生まれないが,生物に「絶対」はない。

>元細胞を取ったマウスの中に,これまで知られていなかった8番トリソミーの

>マウスがいた可能性も完全には否定できない。

>だが仮に5匹のうち1匹に8番トリソミーがあったとしても,

>8番染色体はB6系統のものが5本,129系統のものが6本になり,

>SNPの比率は5:6になる。

>今回の解析では,SNPの比率は1:2だった。

>STAP細胞全体で染色体の数の比は1:2,

>つまりこのSTAP細胞を作っている細胞すべてに

>8番トリソミーが生じていたことになる。

 

(5)いくら小保方でも、キメラ・マウス作成の必要の無い単なるデータの登録で、しかも、「STAP細胞」名目でなく、「Low pH treated CD45 positive Cells(弱酸処理したCD45陽性細胞)」名目なので多能性細胞でない事が判明しても失敗作だったとの言い訳可能なので、わざわざ不正発覚の危険の高いESのみで登録したか疑問です。少し知恵があれば、イカサマするなら死んで緑の蛍光を発するT細胞も混ぜたはずです。 その方がTCRに対応するmRNAも混じったはずだからです。

 

(6)遠藤高帆氏のトリソミーの主張と同じ日に、遠藤高帆氏(kaho氏)と別個に独自に東大の2グループも同じ結果を出したとの記述がNHK「かぶん」ブログありました。

http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/190193.html

>この分析を行ったのは、横浜にある理化学研究所統合生命医科学研究センターの遠藤高帆上級研究員らと

>東京大学の2つのグループで、それぞれ独自に行いました。

 

これは、できすぎた偶然であり、確率が千分の一以下の偶然でしょう。しかも、東大の2グループの代表者名は今でも不明です。

 

(7) ES細胞では継代培養でトリソミーが生じやすいとされる (注4) が、小保方の研究室のESは冷凍保存状態で発見された (注5) ので、仮にトリソミーだとしてもESとは断定できない。

 

(8) 小保方はNCBIのサイトに比較用(コントロール)のES細胞(Embryonic Stem Cells)のデータも登録しています。そして、その登録されたES細胞(Embryonic Stem Cells)は遠藤高帆氏(kaho氏)もトリソミーで無い事を言外に認めています。

(日経サイエンス号外記事・[STAP細胞・元細胞の由来 論文と矛盾]参照)

http://www.nikkei-science.com/wp-content/uploads/2014/06/20140611STAP.pdf

>8番を除く1 〜 19番と性染色体の遺伝子の発現量はES細胞と同じで,

>8番染色体がトリソミーだったことが,この解析からも裏付けられた。

 

という事は、小保方は同じ「strain」で登録用の表のES細胞と秘密の隠しES細胞という二種類のES細胞を持っていたという事になり、無理のある憶測と思われます。


(注1) [マウスおよびラット系統の命名法に関する規則と指針]p.5参照

http://www.jalas.jp/pdf/iczn.pdf

 

(注2) NCBIでの登録においてSTAP細胞のデータは「Low pH treated CD45 positive Cells」  として登録されている事は、Article論文におけるSTAP細胞作成方法で、弱酸処理したCD45陽性細胞である事に由来します。尚、(2014年06月11日付け)NHK「かぶん」ブログ記事[ STAP細胞 遺伝子データに説明と矛盾する点 ]の画像

において、Accessionが「SRS559090」とか「SRX472647」と書かれており、Accessionが「SRS559090」を示すページ

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sra?term=SRS559090&cmd=DetailsSearch (この記事の作成直後に消去されました)

にも、「Low pH treated CD45 positive Cells」として、Accessionが「SRX472648」と「SRX472647」が示されているだけです。

そして、NCBIの「SRX472647」のページ (この記事の作成直後に消去されました) から、 Sample: SAMN02393436のページ  (この記事の作成直後に消去されました) に進むと、「label   SMARTer_STAP RNA-seq 」とあるので、「STAP細胞」のRNAデータとして登録された事がわかります。尚、そのページ  (この記事の作成直後に消去されました)に、「strain  C57BL/6 x 129/sv 」と表示されています。

 

(注3) nnnaaannnaaammmiiiのホームページの「第8染色体トリソミー症候群」参照。

http://www.geocities.jp/nnnaaannnaaammmiii/linktor

 

(注4) 下記の京都大学大学院・ 医学研究科・ 遺伝医学講座・ 分子遺伝学分野のホームページ記事参照。

http://www2.mfour.med.kyoto-u.ac.jp/~molgen/research_summary.html

>ES細胞では数ヶ月にわたる継代とともに染色体(特に8、11番染色体のトリソミー)とインプリンティングの異常が蓄積

 

(注5) 下記のNHK「かぶん」ブログ記事参照

http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/190691.html

>STAP問題 冷凍庫に「ES」容器


2014年7月14日 (2014年6月28日・当初版はこちら)

浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp

目次