無料アクセス解析

 調査報告書中で使われた「直線性」という用語の問題点

 


注意: nature誌の小保方他によるarticle論文のFig.1iの電気泳動画像に関しては、下記の「直線性」以外の点で切り貼りした部分にGL(germ line)が存在しないという矛盾があり改竄と考えられるが、その本質的疑惑については、なぜか調査委員会は追及していない。それを追及するとSTAP細胞確認にTCR再構成を使う事を小保方らに勧めた西川伸一特別顧問に類が及ぶと考えて、その本質的疑惑を追及しなかったのかもしれない。逆に、調査報告書に付属するスライドPDFのp.4の「Gel 1」の電気泳動の写真で「CD45+ cells」のレーンのままならTCR遺伝子が確認できGLも存在するのに、なぜ小保方が、わざわざ問題の無いレーンを捨てて不正したのかもナゾである。 しかし、以下においては、それらの問題は取り上げない。


    STAP細胞疑惑に関連して理化学研究所の「研究論文の疑義に関する調査委員会」が作成した研究論文の疑義に関する調査報告書のnature誌の小保方他によるarticle論文のFig.1iの電気泳動の画像に関する疑惑(1-2)に関して、「直線性」 (注1) なる用語が3ページ後半で初出し、「標準DNAサイズマーカーの対数値と泳動距離が良好な直線性を保っている関係にあることを目視で確認した上で」 (注1) と小保方が先に述べた事になっている。

   しかし、この「直線性」の意味が、標準DNAサイズマーカーのDNA断片のサイズの対数値と泳動距離に関する片対数グラフ(検量線)の「直線性」を意味すると解釈すると、片対数グラフ用紙という特殊なグラフ用紙にプロットせねばならず、実際に片対数グラフを作成せねば「目視で確認」という事はありえない。尚、この検量線グラフは異なるゲルで電気泳動したデータが正確に比較可能か否かをチェックするための事前準備のグラフであって、通常は論文に掲載されないグラフである。

   標準DNAサイズマーカーによる片対数グラフ(検量線)の作成自体は数学の対数の概念を知っている者なら検量線の作成方法を一日習えば作成できるはずである。実際、サイエンス・パートナーシップ・プログラムによって大学の研究者に講師を依頼して実験・実習を行う「生物学特別講義」を受けた神奈川県立逗子高校の場合には、生徒は一日で検量線のグラフを作成したそうである (注2)。(注意: ただし、通常は高校では習わない。)

   しかし、そもそも小保方が早稲田大学及び大学院で、検量線の作成方法を習得し、かつ、理化学研究所勤務後も検量線の作成方法を忘れていなかったか疑問である。しかも、もし仮に、小保方が電気泳動分析時に検量線のグラフを作成する能力があったとしても、まともな実験ノートを作成しない杜撰な性格から、論文に載せない正確性確認のための準備的な検量線グラフを、こまめに対数グラフ用紙に標準DNAサイズマーカーの対数値と泳動距離の関係をプロットして検量線のグラフを作成して事前に検証したとは到底考えられない。したがって、調査委員による事情聴取で小保方が先に「直線性」なる用語を使用したとは考えにくいのである。おそらく真相は、事情聴取で石井・前委員長らに検量線のグラフを作成して事前に「直線性」を確認せずに別ゲルの結果を利用するのは不正行為だと説教され、ついつい小保方は事情聴取で目視で確認した旨の嘘を述べたのだと推察される。石井・前委員長らは、小保方の習性を利用して、小保方に「標準DNAサイズマーカーの対数値と泳動距離が良好な直線性を保っている関係にあることを目視で確認した」と嘘をつかせ、あたかも小保方が先に「直線性」なる用語を使用したかのごとく調査報告書に記載した疑いが濃厚なのである。(そのような誘導尋問で小保方が先に「直線性」なる語句を使ったとして「故意」を暗黙裡に認定しており、「トカゲのシッポ切り」行為と思われる。)

   さらに、調査報告書における調査委員(前委員長を含む)側の見解を示す表現として、「検証の結果、ゲル1とゲル2の間には、標準DNAサイズマーカーの対数値と泳動距離について直線性の保持は見られず」という表現があり、その表現の「ゲル1とゲル2の間には」という部分の表現からすると、調査報告書の「直線性」なる用語は外国製の標準DNAサイズマーカー付属の英文説明書 (注3) の「linearity」か「linear」の誤訳で本来は「線型性」もしくは「線型」と訳すべき数学的用語であった疑いが有る。「線型性」は文脈によっては「直線性」をも含む用語であるので、調査報告書の「直線性」という用語を「線型性」という数学用語に置き換えるとつじつまが合うのである。

   実際、調査報告書は小保方の切り貼りした部分が元の写真の一様な拡大(または一様な縮小)や傾きの補正のような素直な加工である一種の線形的加工(線型変換)であったか否かの吟味をしており、「直線性」という用語より「線型性」もしくは「線型的」「線型」の用語の方が妥当と思われる。

   尚、調査報告書に付属するスライドPDFにある実際の電気泳動写真での Gel 1 と Gel 2 の「DNA ladder (標準DNAサイズマーカー)」は、目視でお互いに非線形的対応と断定できるほどにヒドイ状況ではなく、一様な拡大(または一様な縮小)とか傾きの補正という一種の線型変換をして横に並べて、やっとズレができる事(非線形的に対応してる事)が判明する程度である。

   逆に、調査委員長辞任の原因となった石井俊輔・前委員長の論文やその資料として公開された実験ノートの電気泳動の写真 (注4) では、同じゲル中でもバンドが波打っており、また、試料の電気泳動のバンドが異常に太くにじんでいる。

   これでは、小保方の電気泳動に関して「標準DNAサイズマーカー」の「直線性」を批判できるレベルではなく、技能レベルが低いか、または、意図的に正確な判定の困難な電気泳動画像にして不正を働いているかのいずれかと思われる。石井俊輔・前委員長の論文やその資料として公開された実験ノートの電気泳動の写真では、そのような読み取り困難な電気泳動バンドのためか、実験ノートの公開された部分にも検量線の片対数グラフも対数計算も存在せず、ベテランの石井俊輔・前委員長が行っていないと推察される検量線グラフの「直線性」確認を小保方に要求するというハレンチな主張が調査報告書に記載されているのである。


(注1) 「調査報告書」p.3の下記の部分参照。

http://www3.riken.jp/stap/j/f1document1.pdf

>そこで小保方氏に説明を求めたところ、

>T細胞受容体遺伝子の再構成のポジティブコントロールを

>明瞭に示すためにはゲル2のレーン1が適しており、

>ゲル1とゲル2のそれぞれの標準DNAサイズマーカーの泳動について

>双方のゲルにおいて、標準DNAサイズマーカーの対数値と泳動距離が

>良好な直線性を保っている関係にあることを目視で確認した上で、

>ゲル1の写真を縦方向に引き伸ばし、

>標準DNAサイズマーカーの位置情報に基づいてレーン3の写真の

>挿入位置を決定したとの説明があった。

 

(注2) 神奈川県立高等学校教員・野村浩一郎氏のホームページにある逗子高等学校勤務時代での大学の研究者に講師を依頼して実験・実習を行う「サイエンス・パートナーシップ・プログラム・研究者招へい講座」での電気泳動実験に関する下記の記事参照。

http://www.geocities.jp/nomuk2001/spp04/dnakaiseki04.htm

 

(注3) ネット上で検索すると、「linearity」や「linear」の語が頻出する外国製の標準DNAサイズマーカーの取り扱い説明書と思われる文書が存在する。ただし、そのような説明の無い製品が大半である。尚、下記のNorgen Biotek社ホームページ上のPDF文書は、そのような文書が存在する実例として示しただけで、小保方や調査委員がNorgen Biotek社製の標準DNAサイズマーカーを使用していたか否かは不明である。

(Norgen Biotek社ホームページ上のPDF文書参照)

https://norgenbiotek.com/product_resources/ultraranger_1_kb_dna_ladder_dna_quantification_by_gel_densitometry_with_norgen_dna_ladders_12100_313.pdf

 

(注4) 片瀬久美子氏のブログ「warblerの日記」記事「石井俊輔氏が責任著者となっている論文に関する疑義を頂きました」参照。

http://d.hatena.ne.jp/warbler/20140424/1398320093


2014年7月16日 (2014年5月28日作成の当初の「緊急暫定版」はこちら2014年5月31日版はこちら)

浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp

目次