林子平による『三国通覧図説』付図「琉球三省并三十六島之図」の緯度はデタラメ
江戸時代の日本人の林子平 (注1-1) (注1-2) (注1-3) によって江戸時代に作成された『三国通覧図説』付図「琉球三省并三十六島之図」という地図には尖閣諸島と緯度が図示されている。現存する「琉球三省并三十六島之図」には複数の版があり (注2-1) (注2-2) (注2-3) (注2-4) (注2-5)、そのうち、早稲田大学図書館所蔵の版 (注2-1) と横浜市立大学所蔵の版 (注2-2) では首里城の緯度が北緯25度として示され、沖縄県立図書館の版 (注2-3) では首里城の緯度が北緯26度の緯線より少し北に示されているものの北回帰線(北緯23.4度) (注3-1) (注3-2) が北緯24度の緯線と北緯25度の緯線の間にあり誤っている。尚、田中邦貴氏ホームページで公開されている「琉球三省并三十六島之図」 (注2-4) 及び 巽良生氏による故・井上清・京都大学教授の著書の『「尖閣」列島--釣魚諸島の史的解明』転載のサイトにある「琉球三省并三十六島之図」 (注2-5) では首里城の緯度に相当する緯線が北緯25度なのか北緯26度なのか判りにくいが北回帰線(北緯23.4度) (注3-1) (注3-2) と照合すれば首里城の緯度は北緯25度として示されていると考えられる。
首里城の正確な緯度は北緯26.22度であり (注4-1) (注4-2) (注4-3)、林子平が参考にした清朝中国の冊封副使・徐葆光著『中山伝信録』では冊封船に同乗した中国人測量士の測量結果が「琉球北極出地二十六度二分三厘」として示されており (注5)、「北極出地」とは「北極星の地平線からの高度、すなわち緯度」の事であり (注6-1) (注6-2)、一度未満の端数を「二分三厘」としている事から一度未満は10進法表記であるが一度未満を60進法表記に変換すれば「北緯26°13′48″」となる (注6-1)。林子平が参考にした清朝中国の冊封副使・徐葆光著『中山伝信録』の首里城の緯度の誤差が0.01度程度で明らかに北緯26度以上なのに、現存する「琉球三省并三十六島之図」の版では北緯25度程度とするか (注2-1) (注2-2) (注2-4) (注2-5)、北回帰線の緯度を誤っているか (注2-3) であり、全て版の『三国通覧図説』付図「琉球三省并三十六島之図」の緯度がデタラメだった事がわかる。
よって、林子平の著書の『三国通覧図説』が江戸幕府によって発禁処分になった事と合わせて考えると、林子平が作成した『三国通覧図説』付図「琉球三省并三十六島之図」は尖閣諸島領有問題の証拠とすべきではない。
2019年2月28日 (2019年2月27日・当初版は こちら。 )
御意見・御批判は対応ブログ記事・[ 林子平「琉球三省并三十六島之図」の緯度はデタラメ 浅見真規のLivedoor-blog ] でコメントしてください。(注1-1) 下記urlの京都大学電子図書館記事参照。
https://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/np/shihei.html
(注1-2) 下記urlの宮城県ホームページ記事参照。
https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/205513.pdf
(注1-3) 下記urlの「コトバンク」記事参照。
https://kotobank.jp/word/林子平-14665
(注2-1) 下記urlの早稲田大学図書館図書館公開の「琉球三省并三十六島之図」参照。
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ru11/ru11_00855/index.html
(注2-2) 下記urlの横浜市立大学公開の「琉球三省并三十六島之図」参照。
http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~ycu-rare/pages/WC-1_19.html?l=1&n=0
(注2-3) 下記urlの沖縄県立図書館ホームページ公開の「琉球三省并三十六島之図」参照。
https://www.library.pref.okinawa.jp/item/index-1104050766_1002008694.html
(注2-4) 下記urlの田中邦貴氏ホームページで公開されている「琉球三省并三十六島之図」参照 (国立公文書館所蔵の版のうちの一つ)
http://www.geocities.jp/tanaka_kunitaka/senkaku/ryukyu36/
(注2-5) 下記urlの巽良生のホームページで井上清著『「尖閣」列島--釣魚諸島の史的解明』転載記事の「琉球三省并三十六島之図」参照。
http://www.mahoroba.ne.jp/~tatsumi/dinoue16.html
(注3-1) wikipedia「回帰線」(2017年6月18日版)参照。
https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=回帰線&oldid=64489197
>北緯23度26分
>・・・(中略)・・・
>適当な桁で四捨五入し23度26分、23.4度などとすることが多い。
(注3-2) 下記urlのコトバンク記事参照。
https://kotobank.jp/word/回帰線-42227
(注4-1) wikipedia「首里城」(2019年2月17日版)参照。
https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=首里城&oldid=71691594
(注4-2) Googleマップ参照。
(注4-3) 国土地理院ホームページ(電子国土Web)地図参照。
http://maps.gsi.go.jp/#17/26.217036/127.719476/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0f2
(注5) 早稲田大学図書館公開の徐葆光著・『中山伝信録』・巻四・「星野」の下記urlの画像参照。
>琉球北極出地二十六度二分三厘
(注6-1) 瀬名波 任 著 『球陽に見られる地学関係の記述について』・沖縄県立博物館紀要 第21号・p.73 参照。
https://okimu.jp/userfiles/files/page/museum/issue/bulletin/kiyou21/kiyou21.pdf
(注6-2) 『徐葆光 中山伝信録』・原田禹雄 訳注・榕樹書林・1999年5月14日発行・p.310-312参照。