2000年鳥取県西部地震震源域の方向とその周辺の高塚山のある越敷野玄武岩台地(溝口溶岩)の火口列が同じく北北西-南南東であり、また大根島は2000年鳥取県西部地震震源域の延長線と台湾-宍道褶曲帯に属する宍道地溝帯の交点にある。それゆえ、大根島火山や高塚山火山のマグマを供給する割れ目(おそらく断層破砕帯)が2000年鳥取県西部地震で活性化する危険がある。実際、大根島火山や高塚山火山とは異なる場所ではあるが、2000年鳥取県西部地震震源域の周辺地域では2000年鳥取県西部地震以前から(火山の地下のマグマ活動時に現れる)深部低周波地震(深度・約30km)(注1)が観測され、小原一成(2003)や大見士朗・Jim Mori(2004)は鳥取県西部地震の後の2003年に最大規模の深部低周波地震が発生したと報告している。尚、台湾-宍道褶曲帯に属する宍道地溝と2000年鳥取県西部地震震源域の方向は異なるが、マントル由来の非火山性温泉の場合は大断層と副次的な断層の交点で湧出しやすいとの事(注2)であるから2000年鳥取県西部地震震源域の延長線と宍道地溝との交点に位置する大根島火山も活性化する危険が有るだろう。ここで注意すべきは小規模玄武岩火山の噴火は前兆がつかみにくく一気に噴火する危険があるという事と町づくりにおいて噴火の危険性が考慮されておらず噴火に対して全く無防備な事である。(注3)
注釈
(注1) 京都大学防災研究所HP・「鳥取県西部地域で観測された深部低周波地震の例 」参照。
http://www2.rcep.dpri.kyoto-u.ac.jp/TOTTORI/dlf_j.html
防災科学技術研究所HP・「鳥取県西部地震震源域に発生していた深部低周波地震」 参照。http://www.hinet.bosai.go.jp/topics/tottori001006/lowf.html
(注2) 西村進(2003):地下深部での温泉・地下水の 胚胎の姿、参照。
http://www.nsc.go.jp/senmon/shidai/hlwshop/hlwshop004/7.PDF
(注3) 浅見真規(2003)参照。
http://www-jm.eps.s.u-tokyo.ac.jp/2003cd-rom/pdf/v055/v055-p030.pdf
参考文献・参考HP
京都大学防災研究所地震予知研究センターHP
http://www.rcep.dpri.kyoto-u.ac.jp/main/HomeJ.html
防災科学技術研究所HP小原一成(2003):深部低周波微動の時系列的特徴、地学雑誌112(6)p.837-849
http://www.geog.or.jp/journal/back/pdf112-6/p837-849.pdf
大見士朗・Jim Mori(2004):鳥取県西部の深部低周波地震の現状、平成15年度京都大学防災研究所研究発表講演会
http://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/web_j/hapyo/04/d30.pdf
西村進(2003):地下深部での温泉・地下水の胚胎の姿、原子力安全委員会第4回HLW安全調査ワークショップ
http://www.nsc.go.jp/senmon/shidai/hlwshop/hlwshop004/7.PDF
浅見真規(2003):大根島火山のステルス・一気噴火モデル、地球惑星科学関連学会2003年合同大会予稿CD-ROM・V055-P030
http://www-jm.eps.s.u-tokyo.ac.jp/2003cd-rom/pdf/v055/v055-p030.pdf
2004年5月26日
(談話室)「オクトパスアイランド」 (お気軽にどうぞ)