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 2017年5月時点で予想される北朝鮮の核弾頭の威力

 

   北朝鮮は2006年10月から2016年9月までの約10年間に、地下核実験の可能性のある人工地震を5回発生させている。しかし、震源から離れているため人工地震の規模も正確には算出できない。しかも、爆発物の設置の仕方によって爆発エネルギーの地震エネルギーへの変換効率が大幅に異なる事から爆発物の正確な規模が算出困難である。確実な事は爆発規模が50キロトン以下である事と、人工地震の規模が第5回目のが最大で最小だった第1回目の10倍以上で二番目の規模だった第3回目の約1.5倍だという事である。北朝鮮が水爆だと主張した第4回目の人工地震の規模は三番目の規模で第5回目の約半分で、爆発規模から水爆とは考えにくい。この変遷から北朝鮮の核兵器製造技術はプルトニウム原爆の爆縮起爆に難点を抱えている可能性がある。

   また、第2回人工地震と第5回人工地震では放射性キセノンが検出されておらず、第4回目も放射性キセノンの検出レベルが低かった。そのため、第2回目・第4回目・第5回目については、人工地震が核爆発によるものか通常火薬による偽装かも識別できないため偽装の疑いも指摘されている。第5回目については人工地震の規模が放射性キセノンが検出された第1回目のと比べ十倍以上で、もし核爆発が原因なら核反応を起こした核物質も十倍以上で発生したキセノンも十倍以上でガス圧も高く、地震の揺れが大きいため岩盤に亀裂が起き易く、外部に放射性キセノンが大量に漏れ易いはずなのに検出されていないのは不自然なので、私は第5回目の人工地震は地震波への変換効率を高めた通常火薬による爆発で地下核実験を偽装で引き起こされた可能性が高いと推察している。

   北朝鮮は第4回目人工地震後に標準化した核弾頭として円筒型の物体を公開しており、それが核弾頭とすれば、過去の人工地震の規模から北朝鮮が水爆や強化原爆の地下核実験を成功していないと考えられるので、ガン・バレル起爆型のウラン原爆の弾頭と考えられる。私は放射性キセノンが検出された人工地震で最大規模だった第3回目の人工地震が高濃縮ウランによる広島原爆と構造が簡単なガン・バレル型起爆装置による15キロトン程度の規模の核爆発の可能性が高いと考え、それを標準化弾頭にした可能性が高いと推定している。大きさについては、確たる根拠は無いものの「火星12」型ミサイル先端部の大きさや格納作業におけるボルト・ナットの大きさから、私は直径が約50cm、長さが約135cm、重量が約2トン、爆発規模が約15キロトンと想像している。

 

https://www.youtube.com/watch?v=XmrdpC_Sa2o&feature=youtu.be&t=36

   ちなみに、韓国は過去5回の人工地震で最大規模の第5回目の人工地震を10キロトンの核実験と推定し、日本の防衛省は11ないし12キロトン程度と推定している。私は第5回目の人工地震は上述のように通常火薬による偽装の可能性が高いと考えるが、もし仮に核実験だとすれば長崎原爆 (爆発規模・約22キロトン、重量4トン以上、爆縮起爆型プルトニウム原爆) 類似の核爆発の可能性が高いと推測している。

 

   以上の考察を前提にすると、もし仮に、北朝鮮が在日米軍基地を核攻撃する場合、核弾頭として使用されるのは次の三通りの可能性が有力である。

 

(1) 弾頭重量が1500kgを超えるガン・バレル起爆によるウラン原爆の核弾頭

(2) 弾頭重量が400kg・直径55cm程度で爆発規模が12ないし15キロトン程度のプルトニウム原爆の核弾頭

(3) 弾頭重量が1トンを大幅に超える爆発規模が22キロトン程度の爆縮起爆によるプルトニウム原爆の核弾頭

 

   上記の (1) は構造が簡単であり、また、北朝鮮にウラン鉱山が存在し、電力の民間への供給を制限してウラン235濃縮に必要な膨大な電力を確保していると推定され、北朝鮮が臨界量以上の高濃縮ウランを保有している事がほぼ確実なため、北朝鮮が現時点で、ほぼ確実に製造可能と考えられる。そして、北朝鮮は2017年5月14日に発射した「火星12」型ミサイルが「大型重量核弾頭を搭載できる」と解説しているので、ガン・バレル起爆による重量1500kg以上のウラン原爆の核弾頭の可能性が高いと考えられる。(この核弾頭はプルトニウムを含まないため、もし核爆発せず核弾頭として不発であった場合にプルトニウム汚染を引き起こさないので、もし核爆発せず核弾頭として不発であった場合に日本からプルトニウム汚染爆弾を使用したと猛批判される事が避けれるメリットが北朝鮮にある。)

   北朝鮮が2017年5月14日に発射したミサイルについて「大型重量核弾頭を搭載できる」と解説している事は裏を返せば、スカッドERやノドンに搭載可能な1トン以下の核弾頭を保有していない事を暗に認めているようなものであり、上記の (2) の可能性は低いとも考えられるが、北朝鮮の報道ではアメリカの「W 12 ( Mark 12 )」型爆縮起爆プルトニウム原爆 ( 重量約408kg・直径約56cm・爆発規模12ないし14キロトン ) に似た模型と思われる画像を公開し「火星12」型ミサイル先端部の内部模式図内にも描いている。仮に現時点で小型弾頭を保有してなくとも、製作予定の模型と考えれば、一年以内に保有する可能性は排除できない。そのため、北朝鮮から離れている沖縄の嘉手納基地でも北朝鮮へ大型爆撃機が出撃する場合には北朝鮮から核ミサイルによる報復攻撃を受ける危険性を想定すべきである。

 

 

   また、黒鉛炉からプルトニウム239含有比率の高い兵器級プルトニウムを臨界量以上得たと考えられる北朝鮮のような国にとっては、核兵器先進国のアメリカが初期のプルトニウム爆縮型原爆の技術を一時的に機密解除・公開した事があり、長崎原爆「ファットマン」程度のプルトニウム爆縮型原爆は製造可能と考えられ、北朝鮮が上記の(3)のような重量3トン程度で爆発規模22キロトン程度のプルトニウム爆縮型原爆の製造技術は有する可能性が高い。

   いずれにせよ、2017年前半の段階では、もし仮に北朝鮮が重量3トンの核弾頭しか保有しないと仮定しても、北朝鮮北部の山岳地帯から900km以内の岩国基地や経ヶ岬通信所や佐世保基地は北朝鮮の核ミサイルの射程内の可能性が高いので、少なくとも岩国基地周辺や経ヶ岬通信所周辺や佐世保基地周辺は核ミサイル攻撃対策を立てるべきである。


目次

2017年6月15日 (2017年5月22日当初版は こちら 。)

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浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp