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 パルマス島事件判決はオランダに冊封された大酋長による間接的支配を有効とする (詳細版)

 

   尖閣諸島日本領論者には、中国の琉球王国に対する冊封を中国独自の茶番で国際法上の効果が無いと考える者もいるようだが、「パルマス島事件」判決はオランダの植民地支配を代表する ( オランダ ) 東インド会社 (注1) によるパルマス島の近くの大きな島であるサンギ島の二人の大酋長に対する「冊封」と冊封された近隣の大島であるサンギ島の大酋長によるパルマス島に対する間接的支配を有効と認めている (注2-1) (注2-2) (注2-3)

    この事を、尖閣諸島領有問題に当てはめると、中国は冊封使船だけでなく琉球王国の進貢船 (朝貢船) 等を含めて尖閣諸島について数百回の利用 (実質的に巡回を兼ねる) があった事になる。

    ただし、最後の二回の冊封使に対して琉球王国から派遣された案内役の看針通事が「黄尾嶼」を「久場島」、「赤尾嶼」を「久米赤島」として意図的に琉球名で紹介し「黄尾嶼」と「赤尾嶼」を横領しようとした疑い (注3) (注4) (注5) があり、最後の二代の琉球王である尚育・尚泰の時代の進貢船による「黄尾嶼」と「赤尾嶼」の間接的支配は認められないと考えるべきである。また、最後の二回の冊封使は「黄尾嶼」と「赤尾嶼」を中国名で認識できてないので「黄尾嶼」と「赤尾嶼」に対する直接支配も認められないと考えるべきである。


(注1) 植民地経営に関してオランダを代表する事がオランダ成立時の条約で認められている。

 

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(注2-1) 『判例国際法』 [ 第二版 ]・松井芳郎 編・東信堂・(2006年5月20日初版第1刷発行)中の「パルマス島事件」解説p.126-130参照。

 

>首長はその領国を宗主権者である会社またはオランダ国家から封土として授与されるとする。

 

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(注2-2) [ 島の領有と経済水域の境界画定  ] ( 芹田健太郎 著・有信堂高文社・1999年6月3日初版第一刷 ) の「補章 島の領有権をめぐる仲裁判決の研究」 ( p.291-292 ) 参照。

 

>当該領主(prince)が宗主国である東インド会社またはオランダ国家の封土として自己の領地(principarity)を受領しているという観念に基づいている。

 

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(注2-3) 「パルマス島事件」判決原文 (p.856)

http://legal.un.org/riaa/cases/vol_II/829-871.pdf

または、

(下記PDFファイルの37画面目)

https://pcacases.com/web/sendAttach/714

参照。

>hey are all based on the conception that the prince receives his principality

>as a fief of the Company or the Dutch State, which is suzerain.

 

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(注3) 最後の冊封使・趙新による著作で趙新の子や孫らによる自費出版と考えられる『續琉球國志略』には趙新の回の航路だけでなく冊封使録が出版されていない前回の冊封使の林鴻年の航路も記載されているが、それによれば最後の二回の航行で「黄尾嶼」が「久場島」、「黄尾嶼」が「久米赤島」として扱われており、琉球王国から派遣された案内役の看針通事が「黄尾嶼」と「赤尾嶼」を琉球名でのみ紹介したと考えられる。

 

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(注4) 最後の二回の冊封使録が公費で出版されなかったと思われる原因は「黄尾嶼」と「赤尾嶼」の記載がなく、おそらくそれらの琉球名と思われる「久場島」・「久米赤島」で記載されていたからと私は推測する。

 

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(注5) 鞠徳元 著  『日本国窃土源流-釣魚列島主権辨』 参照。鞠徳元教授は薩摩が黒幕になって琉球王国に横領をそそのかしたと考え、それが日本の釣魚列島 (尖閣列島) に対する窃盗の源流としているようである。

 

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2016年9月20日

浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp