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 梅花嶼は棉花嶼

 

 

問題の所在:

 

   程順則 著『指南広義』及び、冊封使・齊鯤と冊封副使・費錫章の共著による『続琉球国志略』には「梅花嶼」なる島が冊封使航路に登場する。しかし、現在は台湾本島の北方に「梅花嶼」なる名称の島は存在せず、現在の島名を比定したい。尚、冊封使録の日本語翻訳者の原田禹雄氏は花瓶嶼か彭佳嶼の誤記と推定しておられる (注1-1) (注1-2)

   

   『指南広義』の「海島図」のスケッチでは琉球王国に向かう航路で「花瓶嶼→梅花嶼→釣魚台」という順番で描かれている。齊鯤・費錫章の共著の『続琉球国志略』の本文にも「花瓶嶼→梅花嶼→釣魚台」という順番で登場する (注2)

 

 

私の見解:

 

    『指南広義』の島名の配列では、琉球王国に向かう航路で「花瓶嶼→梅花嶼→彭家山 (彭佳嶼) →釣魚台 (魚釣島) 」の順番になっており、Google mapで照合・比較すると、「梅花嶼 (mei hua yu) 」と「棉花嶼 (mian hua yu ) 」が対応する。「梅」の字が「棉」の字に変わっただけと考えられる。一字目は異なるものの「梅」も「棉」もピンインで「m」の音があり声調も第二声で似ており、二字目は同じ「花 (hua) 」である。さらに、程順則 著『指南広義』の「海島図」のスケッチでは「梅花嶼」に梅の花の絵が描かれており、梅の花に形状が似ている事を示唆する。航空写真では「棉花嶼」には凸部分が5箇所あるようにも見え、それを梅の花の5枚の花びらに譬えたと推察できる。よって、「梅花嶼 (mei hua yu) 」は現在の「棉花嶼 (mian hua yu ) 」に比定 (同定) すべきと私は考える。

   尚、「梅花嶼 (棉花嶼) 」も「彭家山 (彭佳嶼) 」も粘性の低い玄武岩溶岩でできた火山島であり、いずれも平坦な形状をしており、形状が似てる事から「誤認」の可能性は否定しないが、「誤記」の可能性は考えにくい。


目次

2016年11月30日

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浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp


画像引用サイト:

東京大学駒場図書館・情報基盤センター・「大日本海志編纂資料」における 程順則 著『指南広義』 画像

http://gazo.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/kaishi/pages/6-0-11.html

 

abovetaiwan (yushan3952) 氏のXuite日誌記事・『基隆的北方三島及基隆嶼』

http://blog.xuite.net/abovetaiwan/twblog/134107733

 

Google map

https://www.google.co.jp/maps/@25.4106599,122.6555785,9.25z

 

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 注釈:

 (注1-1)  原田禹雄 著・『尖閣諸島』 榕樹書林 (2006年発行) よりp.104-106参照。

 

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(注1-2) 齊鯤, 費錫章 著『續琉球國志畧』原田禹雄 訳注・榕樹書林よりp.150・151・153参照。

 

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(注2) wikisorce「續琉球國志畧 (齊鯤、費錫章)卷三」

https://zh.wikisource.org/wiki/續琉球國志畧_(齊鯤、費錫章)/卷三

又二更,見花瓶嶼,從山南過。午刻,未風,用辰卯針。至下午,行船一更半,入夜。行船二更,見梅花嶼。

 

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