臨界量未満でも高濃縮ウランを持ち込まれれば日本は破滅する
日本人拉致事件やラングーン事件等から北朝鮮は外国に特殊部隊員を潜入させる習性がある。また、マレーシアのクアラルンプール国際空港でVXガスによって金正男氏を暗殺しており北朝鮮は大量破壊兵器を秘密裏に外国に持ち込む事もためらわない。そのため、北朝鮮が高濃縮ウラン(ウラン235の比率を核爆弾製造可能な含有率まで高めたウラン)を保有する限り、北朝鮮が日本に高濃縮ウランを持ち込み日本国内でウラン原爆を組み立てる危険がある。構造の複雑なプルトニウム原爆と異なりウラン原爆は構造が単純なので十分な量の高純度の濃縮ウランがあれば町工場レベルの技術でも組み立て可能なのである。
もし仮に、北朝鮮が申告した高濃縮ウランや兵器級プルトニウム(核爆弾製造に適したプルトニウム239含有率の高いプルトニウム)の全量廃棄とウラン濃縮プラントや兵器級プルトニウム製造可能な黒鉛炉の廃棄と無条件の査察を受け入れたとしても、北朝鮮が保有する高濃縮ウランの総量が不明なため10発分程度は隠し持てる。それどころか現状では、北朝鮮が申告した高濃縮ウランや兵器級プルトニウムの全量廃棄と無条件の査察を受け入れの可能性も低く、現在もウラン濃縮は継続し保有量を増加させ、場合によっては査察困難な地下に極秘の濃縮工場を建設している可能性すらあるのである。
高濃縮金属ウランは一定量以上球形に集めると核爆発を引き起こす。その最少量は臨界量と呼ばれている (注)。中性子反射材で周りを覆うとウラン235単独の場合より臨界量は減らせれるが、それでも10kg以上の高濃縮ウランは必要と考えられる。そのため、臨界量未満の1kgの高濃縮ウランを日本国内に持ち込まれても日本国内で核爆弾製造される危険は無い。
しかし、もし仮に、臨界量未満の高濃縮ウラン100gが日本国内に秘密裏に持ち込まれ、運良く初回の密輸を日本が摘発できたとしても、アメリカは日本からの輸入を全面停止するだろう。これは風評被害による過剰反応というより、日本が摘発した高濃縮ウランが日本に持ち込まれた総量の一部にしかすぎない可能性があるからだ。たとえ、持ち込まれた高濃縮ウランの総量全部が摘発されたとしても、総量全部を摘発できたとは現実には証明できないだけでなく、検査も困難なので、アメリカは日本からの輸入を全面停止するしかないのである。そうなれば日本は経済的に破滅する。また、逆に、アメリカの貿易停止措置を恐れて高濃縮ウラン密輸を日本政府が秘密にして極秘に捜査すれば、極秘の捜査には限界があるため、その後の更なる密輸の大半は摘発できなくなり最終的には臨界量以上持ち込まれ日本国内でウラン原爆を組み立てられる危険が生じる。
2019年2月15日 ( 2018年6月20日・当初版は こちら。 )
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http://www.rist.or.jp/atomica/dic/dic_detail.php?Dic_Key=2421