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(注意):「火星12」型ミサイルに推定重量約2トンのウラン原爆弾頭搭載の場合でも日本の大部分は射程に入ります。

(注意):下記の考察はロケットのシロウトである私の大雑把な推測で、推定数値には相当程度の誤差がある可能性があります。

(注意):下記の考察において「火星12」型ミサイルの2017年5月14日に2段式として発射されたと推定し「ハッタリ」の最大の根拠にしています。(2段式として発射されたと私が推定した根拠も示しています。) しかし、1段式として発射されたとの分析が現時点では大勢を占めており、参考にした久保田隆成氏のサイトでも、私がこの記事の当初版作成後に1段式で発射されたとの前提で分析がされており、結論が大幅に異なります。


 北朝鮮「火星12」型ミサイル実験でペイロードが100kg未満ならハッタリ

 


考察の前提の仮定:

 

   2017年5月14日に北朝鮮が発射した「火星12」型ミサイルはロフテッド軌道と呼ばれる高く打ち上げる軌道で発射され最高高度が2,111km、飛距離787km飛んだとの事で、通常の軌道なら4500km程度飛ぶのではないかと推定されています。尚、「火星12」型ミサイルが1段式か2段式かについては専門家の意見が分かれています。以下の推察で私は、「火星12」型ミサイルは1段式と2段式のいずれでも運用可能であるものの、北朝鮮が2017年5月14日に行なった「火星12」型ミサイルの発射実験では2段式だったと仮定して考察します。尚、「火星12」型ミサイルの重量については、xutianran@stoa1984 氏のtwitterでの2017年5月17日12:07 tweet による約22トンという推定値を前提に考察しました。また、久保田隆成氏のサイト [ ミサイル入門教室 ] の記事『ミサイル』のペイロードと最終速度のグラフを利用し、射程が最終速度の二乗に比例するとして考察しました。また、2017年5月14日の「火星12」型ミサイル発射実験で模擬弾頭を搭載せずペイロードが100kg未満で実験した可能性を私は疑っています。それも仮定に付け加えます。さらに、北朝鮮が画像を公開している直径55cm程度の多面体の小型核弾頭は未完成と仮定し、実戦配備されている弾頭は直径約50cm・長さ約135cm・重量約2トンと仮定します ( 別記事・[ 2017年5月時点で予想される北朝鮮の核弾頭の威力 ]参照 ) 。


二段式として発射実験されたと私が推定する根拠:

 

   2017年8月29日発射実験に関する朝鮮中央テレビの公開動画 (注1) から発射43秒後に第二段目が切り離されたと推定 (注2-1) (注2-2) されていますが、その2秒後 (発射45秒後) にも二段目のロケット噴射と思われる弱い輝点が確認できます。また、その発射実験でも2700km飛行 (注3) しており、もし仮に発射43秒の切り離し以降に第二段目のロケット噴射がなければ、2700km飛行は無理でしょう。

   さらに、二段式として運用されたと私が考える理由として、「火星12」型ミサイルの再突入体の側面にデータ通信用のアンテナが付けられている事があります。もし仮に、再突入体の後部にロケット・エンジンが無ければ、空気抵抗や再突入時の高温対策のためデータ通信用のアンテナは再突入体の後部 (底部) に取り付けられるはずだからです。

   そして北朝鮮発表のニュースでも「火星12」型ミサイルの再突入体の内部の模式図後部にロケット・エンジンと思われる構造物が描かれている事も二段式として発射実験されたと考える理由です。

   尚、ジョンズ・ホプキンス大学の北朝鮮の核兵器・弾道ミサイル研究グループの「38north」の専門家らは、外見上「火星12」型ミサイルは、多段式ミサイルの最終段の形状を備えており、再突入体部分はロケット・エンジンを有する多段式ミサイルの最終段の形状を備えている事を指摘されています。

   以上の理由から私は、2017年5月14日に北朝鮮が発射した「火星12」型ミサイルは二段式として運用されたと考えています。ただし、北朝鮮発表のニュースの「火星12」型ミサイルの再突入体の内部の模式図に描かれている多面体の爆縮型核弾頭は未完成である可能性が高いと私は推測しています。ただし、もし仮に、模式図に描かれている小型の多面体の爆縮型核弾頭 (推定約400kg) が完成していれば実戦でも二段式運用が可能となり射程距離は3000kmに達する可能性があります。


現時点で搭載される可能性が高い核弾頭について

   2017年5月14日の「火星12」型ミサイル発射実験の翌日の5月15日に、北朝鮮の朝鮮中央通信は、「大型重量の核弾頭の搭載が可能で、新開発したミサイルエンジンの信頼性も再確認した」と報道・主張しました。北朝鮮の朝鮮中央通信が「大型重量の核弾頭の搭載が可能」とした事は実戦配備している核弾頭の重量が2トン以上である事を示唆しているように思えます。その前提で、2016年9月9日に北朝鮮が公開した動画 (「ARIRANG NEWS」によりyoutubeにコピー投稿された動画参照)

https://www.youtube.com/watch?v=zUdu9oS3Ops

に写っている標準化核弾頭の画像を見て、私は直径が約50cmで長さ約1.35mで重量が約2トンと推定しました (ただし、大きさの比較になる物が写ってないので「火星12」型ミサイル再突入体の形状や寸法も参考にしました) 。

    

   ちなみに、爆発規模は2013年の人工地震で使用されたガン・バレル型ウラン原爆と思われます。爆発規模が大きく、北朝鮮の公開動画で地表陥没しているにもかかわらず放射性キセノンが検出されなかった2016年9月9日の人工地震は通常火薬による偽装の可能性が高く、また第4回人工地震を起こした核実験で失敗している事から標準化弾頭は第3回人工地震の核実験を起こした核爆弾を基に作成されていると考えられ、形状からガン・バレル起爆型で爆発規模が15キロトンのウラン原爆と私は推定しています ( 詳細は別記事・[ 2017年5月時点で予想される北朝鮮の核弾頭の威力 ] 参照 ) 。


考察:

   北朝鮮の朝鮮中央通信は、「大型重量の核弾頭の搭載が可能で、新開発したミサイルエンジンの信頼性も再確認した」と報道・主張しましたが、「大型重量の核弾頭」に相当する重量級の模擬弾頭を搭載して2,111kmもの高度まで飛翔したとは考えにくいため、2017年5月14日の「火星12」型ミサイルの第一回発射実験としては2段式ミサイルとして発射され、ペイロードは単に再突入対策の断熱材と飛行制御・通信機器のみで100kg未満と私は推定し、北朝鮮で現時点に標準化された核弾頭が「直径が約50cmで長さ約135cmで重量が約2トン」と仮定すると再突入体後部には軌道修正用の小型で補助的なロケット・エンジンしか搭載できないと、私は考えます。

   つまり、2017年5月14日の「火星12」型ミサイル発射実験では、ペイロード100kg未満で2段式として2000km以上の高度まで打ち上げれても、現時点では1段式核ミサイルとしてしか運用できず重量が2トン程度の核弾頭では射程1000km程度である可能性があり日本の首都圏の在日米軍基地が射程ギリギリとなります。


説明:

上図は久保田隆成氏のサイト [ ミサイル入門教室 ] の記事『ミサイル』のペイロードと最終速度のグラフ

http://kubota01.my.coocan.jp/images/Roket012.gif

に加筆引用したものである。簡単のため「構造質量費」が0.2のグラフを借用して考察。

   ミサイル重量22トンでペイロードは断熱材と飛行制御・通信機器のみで100kgで発射実験したと仮定すると、空気抵抗を無視した最終速度は約6800m/s。これで射程4500kmと仮定。ただし、第2段にはロケット・エンジンと燃料も存在。

   発射実験での第2段のロケット・エンジンと燃料が1トンと仮定し、実戦では第2段のロケット・エンジンと燃料に代えて核弾頭が搭載されるとする。核弾頭が1トンならペイロード比の逆数は22で最終速度は約3600m/s。射程や力学的エネルギーは最終スピードの二乗に比例すると考えると、射程は4500km*(3600/6800)^2=1261km程度。 [ 記号*は積、記号^2は二乗を表すものとする ]

核弾頭が2トンならミサイル重量は1トン増加して23トンなので、ペイロード比の逆数は11.5で最終速度は約3250m/s。射程や力学的エネルギーは最終スピードの二乗に比例すると考えると、射程は4500km*(3250/6800)^2≒1028km程度。これは、首都圏の在日米軍基地がギリギリ射程に入る程度の距離である。

上図は久保田隆成氏のサイト [ ミサイル入門教室 ] の記事『ミサイル』のペイロードと最終速度のグラフ

http://kubota01.my.coocan.jp/_derived/missile.htm_txt_Roket011.gif

に加筆引用したものである。簡単のため「構造質量費」が0.2のグラフを借用して考察。


重要参考サイト:

 

久保田隆成氏のサイト [ ミサイル入門教室 ] の記事『ミサイル』

http://kubota01.my.coocan.jp/missile.htm


目次

2017年11月15日(2017年5月19日・当初版は こちら 。)

御意見・御批判は対応ブログ記事・[ 北朝鮮「火星12」型ミサイル実験でペイロードがゼロならハッタリ   浅見真規の雑記ブログ ] でコメントしてください。

浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp


注釈

 

(注1) 下記urlでの朝鮮中央テレビによる「火星12」発射映像 (「時事通信映像センター」によるyoube投稿動画) 参照。

https://www.youtube.com/watch?v=kSrPKBY9w0A&feature=youtu.be&t=50

 

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(注2-1) 下記urlのTBSテレビ 【ひるおび!】記事参照。(ただし、現在、記事は削除されています。)

https://jcc.jp/news/12603938/

>発射43秒後の閃光。

>発射から43秒で大気圏を脱出してミサイルの切り離しを行った際の閃光と考えられるのではないか。

 

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(注2-2) 下記url記事参照。

https://tvtopic.goo.ne.jp/kansai/program/mbs/631597/631597/

ひるおび!

>・・・(中略)・・・

放送日  2017年8月31日(木) 11:55~13:55

>放送局  毎日放送

>・・・(中略)・・・

ひるトク! (ニュース)12:41~

>・・・(中略)・・・

>発射43秒後の閃光について大気圏を脱出してミサイルを切り離したときの閃光だという。

>計算すると秒速3キロ×43秒で129キロの場所で切り離された。

 

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(注3) wikipedia「火星12」の「2回目の発射」部分の記述参照。

https://ja.wikipedia.org/wiki/火星12

 

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