最高裁判決の誤記
この判決は、おそらく公正な裁判を目指してなされたものでしょう。しかし、当時の担当裁判官が誤記をして他の4名の裁判官は単に署名・押印しただけで十分なチェックがされてなかったものと思われます。
尚、この記事を読むには、憲法の知識または正しい民法の理解またはヤミ金融の初歩的知識のいずれかが必要になります。
これをいくつかの側面から考察します。最初は憲法から見て立法権の侵害になっている事を示します。
三権分立違背の最高裁判決
最高裁判所・昭和47年(オ)第596号事件・昭和49年3月7日第一小法廷判決(民集・28巻2号174ページ)は立法裁量を侵害しています。(ただし、私は単なる誤記だと考えます。)
発信の確定日附が当事者双方の分とも昭和44年2月14日なので、「発信の確定日附で優劣つかない場合には予備的に到達時の先後で決する」とすれば良いものを、「確定日附の先後によって定めるべきではなく」などとして「確定日附」の趣旨を没却しているのは立法裁量の侵害です。
(当事者双方とも、民法467条2項が違憲とも不合理とも言っておらず、また、明白に不合理でもありません)。
日本の裁判所は当事者が必死で生存権や平等権の主張をしても立法裁量から退けているのです。
堀木訴訟・昭和57年7月7日最高裁(大)判決
や
非嫡出子差別訴訟・平成7年7月5日最高裁(大)決定
からすれば、当事者の主張も無しに債権二重譲渡のような財産権の内在的制約で立法裁量を無視するのはおかしいでしょう。
(注意1)民法の本のなかには日附がデタラメなものがあるので、発信の確定日附については、民集・28巻2号・176ページ、177ページを見てください。
(注意2)厳密には一方は債権譲渡ではなく、仮差押命令を債権譲渡通知と同一視していますがこれは大審院からの判例です。
浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp