(注意)これは、閲覧用ではありません。こ れは、過去記事保存資料用です。最新版を御覧ください


3M社製の排気弁付きマスクの感染症対策での使用における危険性

   感染防止目的で、3M社製の排気弁付きマスクが使用されている。しかし、咳き込んでいるコ ロナウイルス感染者の顔面の至近距離で は排気弁から直径1mm程度の飛沫が侵入する危険性がある。3M社製の排気弁付きマスクは「のれん型」で、マスク着用者が息を吐くと排気弁の板状 の可動部の下部が曲がり「のれん」のように2mm程度開き、空気がマスク内部から排出される。比較的弱く息を吐いても排気弁の下 方が2mm程度開 くため、例えば、マスク着用者が顔面を上方から下方に位置する感染者の顔面に近づけた際、感染者が咳き込めば1mm程度の飛沫が高速で上方に飛び、排気弁 から下方に排出される低速の排気の風 速よりも、上方に飛ぶ飛沫の方が高速なため、排気弁の隙間からマスク内部に逆流して侵入する危険性がある。

   以下において、上述の危険性を解説するが、その前に、3M社製排気弁付きマスクの排気弁とその作動について紹介する。

3M社製排気弁付きマスクの排気弁の形状について:

   まず、3M社製マスクの排気弁の形状であるが、実際のマスクは排気弁がカバーで覆われているため排気弁の一部しか見えない (注1)。そこで、3M社が宣伝用PDFでカバーを外した写真があるので、そ れ を示す。

https://multimedia.3m.com/mws/media/984748O/ohs-475-hc.pdf

3M_PDF_9010V.jpg


3M社製排気弁付きマスクの排気弁の作動について:


   また、3M社の排気弁付きマスクの実際の作動の動画撮影も私には困難なので、下記urlでの3M ジャパンの投稿によるYouTube動画を参照されたい。

https://youtu.be/tfjcK1XiDtY?list=PLCs6NenGb10qinW7SukHbIBwgPVHiaPXA&t=12





下方から飛来する高速の直径1mmの飛沫が3M社製排気弁付きマスクの排気弁から侵入し うる理由の模式図による解説:


   排気弁の模式図と直径1mmの飛沫が排気弁下部からマスク内部に飛び込んで侵入しうる理由を以下に図示する。


mask_valve_close.jpg  mask_valve_open.jpg  mask_valve_open_air.jpg  mask_valve_open_1mm-droplet.jpg  mask_valve_open_droplet.jpg


3M社製排気弁付きマスクの排気弁から実際に直径・約1mmの飛沫が侵入した疑いのある 事 例:

   クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から感染者を搬送して感染した救急隊員は読売新聞オンライン記事 (注2) の写真からすると3M社製の排気弁付きマスクを着用していた可能性が高く、もし仮に上述のごとく1mm程度の飛沫が排気弁から侵入すれば、直径1mmの飛 沫は飛沫としては巨大な部類に属し 含有ウイルス量も莫大なため短時間で発症した可能性が高い。

応急対策 :

   排気弁の下方から飛沫が飛び込むのを防止する応急対策として、排気弁のカバーの下部にメンディング・テープを張り付ける方法を提案す る。 尚、フェイス・ガード (「フェイス・シールド」または「防災面」という名称でも販売されている) を着用し、顔面を感染者に近づける際にはフェイス・ガードと顎 (アゴ) の隙間から飛沫が飛び込まないよう顎を引いた姿勢を採るのが望ましい。
   尚、なぜフェイス・ガード併用を推奨するかというと咳き込む感染者の顔面の至近距離では上述のように感染者が下方に位置する場合だけで なく 同じ高さでも水平方向から大量の飛沫を浴びると危険だからである。3M社製排気弁付きマスクのように下方に重大な脆弱性の無い他社製の排気弁付き マスクでも極至近距離の水平方向から大量の飛沫を浴びれば飛沫侵入の危険性があるかもしれないので、3M社製排気弁付きマスクに限らず他社製 の排 気弁付きマスクでも極至近距離で咳き込む感染者に対応する場合にはフェイス・ガードの併用を推奨する。

emergent-measures.jpg


2020年3月1日 ( 2020年2月25日・当初版は こちら。 )
目次

浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp


 (注1)  「実際のマスクは排気弁がカバーで覆われているため排気弁の一部しか見えない」事を私の手元にある3M社製・排気弁付きマスク・ 「9335J」(DS2・日本規格マスク) の写真を示す。排気弁はカバーに覆われ、下部の一部しか見えない。

3M-9322J_front.jpg

3M-9322J_valve_side.jpg  3M-9322J_valve_bottom.jpg  3M-9322J_valve_inside.jpg   


(注2) 下記urlの2020年2月16日付け・ 読売新聞オンライン記事・[ 横浜の救急隊員、防護具を着用しても感染…市は困惑「想定外」 ] 参照。

 https://www.yomiuri.co.jp/national/20200216-OYT1T50085/

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