台湾の政治体制変更には「中華民国憲法」改正もしくは同等の要件を満たすべき
ここでは議論を簡単にするため国際法の視点を無視して憲法問題として以下を述べます。
台湾総統の陳水扁は先日の立法院選挙で立法委員の過半数が取れれば(「中華民国憲法」改正手続きを無視して)住民投票で新憲法制定するとか言ってましたが、それは非常に独裁的・非民主的手法です。彼は「中華民国憲法」によって「中華民国総統」の地位にあるだけでなく、彼がその発言をした時点で党首だった民進党は「中華民国憲法」の改正手続き改正案に同意してるからです(注)。もし、陳水扁が全く「中華民国」憲法の恩恵を受けず彼の民進党も「中華民国憲法」改正論議に参加してなければ、「中華民国憲法」が国民党の軍事力による強制で無効ととの主張により「中華民国憲法」改正手続きを無視して住民投票で新憲法制定するのも理解できますが、陳水扁が「中華民国総統」として「中華民国」憲法の恩恵を受け彼の民進党も「中華民国憲法」改正論議に参加し合意した以上は、せめて「中華民国憲法」改正の要件を満たして新憲法制定すべきでしょう。「中華民国憲法」改正の要件すら満たさないというのは非民主的であり、混乱を招くだけです。実際問題、独立意欲の高い台湾の多数派の民族的集団は中国福建省出身の漢民族移民であって台湾の先住民族でありません。台湾には独立に消極的な先住民族や漢民族でも言語・習慣的に別個の集団が有り、独立という特別な政治体制変更に単に過半数ギリギリで良いのかという問題も有ります。
一応、「中華民国憲法」改正手続きの改正案(注)は民主的な合意があるのであり、たとえ「独立」または「統一」が「中華民国憲法」改正の予定しない(許容しない)名称及び体制の変更であり「中華民国憲法」の同一性を越えるものであったとしても、「独立」または「統一」のような政治体制の変更には混乱を防止するため独立するにせよ「一国二制度」を受け容れるにせよ、「中華民国憲法」の改正手続きを踏むか少なくともそれと等しい要件を満たすべきです。ただ、立法委員の四分の三の出席により、その四分の三の賛成で改正案を提起し、最終的に公民投票で決議した後、過半数の賛成を得て改正案通過とする手続きという要件(注)を満たすのは非常に難しいでしょう。でも、そういう手続きを踏めれるようでないと駄目です。体制を変更するのですから。重要問題は超党派で協力すべきでしょう。
(注) 「中華民国憲法」改正手続きの改正案による。
台北『自由時報』8月24日(台湾週報 2158号 )中華週報社HP参照。
http://www.roc-taiwan.or.jp/news/week/2158/107.html
尚、現行の要件は、「立法院立法委員四分の一の発議により、四分の三の出席及び出席委員四分の三の議決に 基づいて、憲法改正案を作成して国民大会にその承認を提議することができる。この憲法改正案は、 国民大会開会の半年前に公告しなければならない。 」(中華民国憲法・第一七四条第二款、中華民国憲法修正追加条文第一条第二項第一款参照。)
台北駐日経済文化代表処HP参照。http://www.roc-taiwan.or.jp/law/law14.html
http://www.roc-taiwan.or.jp/law/law16.htm
2005年1月6日(当初版2004年12月26日)