(注意)これは、閲覧用ではありません。これは、過去記事保存資料用です。最新版を御覧ください。
なぜ、小さな多良間島に佐渡島より長大な滑走路があるのか?
沖縄本島より台湾に近い先島諸島(注1)には島の面積・人口の割には充実した空港が多数あります。
多良間新空港1500m滑走路 [沖縄県多良間村・人口約1400人](注2-1)
多良間旧空港800m滑走路 (使用可能)[同上]
下地島空港:3000m滑走路(訓練用空港) [沖縄県伊良部町・人口約7000人](注2-2)
宮古空港:2000m滑走路 [沖縄県平良市・人口約33000人](注2-3)
波照間空港:800m滑走路 [沖縄県竹富町・人口約4000人](注2-4)
与那国空港:1500m滑走路 [沖縄県与那国町・人口1800人](注2-5)
石垣空港:1500m滑走路 [沖縄県石垣市・人口約46000人](注2-6)
石垣新空港:2000m滑走路(予定) [同上]
これは、佐渡空港(新潟県佐渡市・人口7万人弱)の滑走路890m(注3)、壱岐空港(長崎県壱岐市・人口3万人強)の滑走路1200m(注4)と比べると、先島諸島の空港は波照間空港以外の現行空港の滑走路はそれより長いのです。あまりにも先島諸島の空港が充実しているのがわかります。
佐渡島は日本の島では沖縄本島に次ぐ面積のある大きな島です。佐渡島や壱岐島は昔はそれぞれ佐渡国国府・壱岐国国府のあった島で淡路島(旧・淡路国)、隠岐の島(旧・隠岐国)、対馬(旧・対馬国)と並んで古くから文化的に開けた島でした。もちろん、当時は沖縄の政治体制は別個でしたので単純比較はできませんが、現在でも人口のはるかに少ない多良間島よりは古くから開けていたのは明白です。また、佐渡島や壱岐島の宿泊施設の数も多良間島よりはるかに多く(注5)、観光産業も佐渡島や壱岐島の方が規模が大きいのです。つまり、人口・面積・観光・歴史いずれの面から考察しても、佐渡島よりはるかに規模の小さい多良間島で、佐渡空港の滑走路より長い1500m滑走路の新空港を新たに建設した事が不自然なのです。
さらに、不思議な事は多良間島ではサトウキビ畑を買収すれば旧空港の800mを延長できる(注6)のに、別の場所に1500m滑走路の新空港を建設し、新空港完成後も旧空港の滑走路が跡地利用されず物理的には使用可能状態(ただし、法的には利用不可)にある事です。
私は、日本政府が台湾有事で本土中国の人民解放軍に滑走路のほとんどを破壊された際(注7)に台湾空軍が日本の先島諸島の民間空港の滑走路を台湾空軍機の一時避難場所として無断借用(その際には北京政府の手前から自衛隊機が台湾軍機の領空侵犯に対して形だけの警告射撃(注8)するかもしれませんけど)するのを前提として、先島諸島の空港を充実させ、台湾空軍機が先島諸島の空港に着陸したのを追いかけて来た本土中国の人民解放軍機が先島諸島の空港を攻撃するのを待って、本土中国の人民解放軍の暴挙だと批判して、日本の世論をしてアメリカ軍の日本からの直接出撃を容認させようとしてるのではないかという事です。そう考えると、台北政府が交渉もせずに北京政府の「一国二制度」による台湾問題の平和的解決の提案を条件拒否している強気姿勢の理由が見えてくる気がします。(注9)
わかりやすく言うと、先島諸島にある多くの充実した民間空港は、あたかも、「台湾空軍さん、緊急時には無断借用してください。中華人民共和国政府の手前、スクランブル機から警告射撃をしたり外務省が抗議したりしますけど御心配なく御利用ください。」と無言で伝えているように見えるのでです。
尚、戦時における台湾空軍機の無断借用防止策としては、不要時には移動式障害物(中古のバスも可)で滑走路を塞ぐ方法があります。また、多良間島のように新しい空港を造った場合には、早急に旧空港の旧滑走路を跡地利用して滑走路として使用できないようにすべきです。
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(注1) 先島諸島最西端の与那国島からは晴れた日には台湾が見えるそうである。
沖縄県HP・八重山諸島(与那国島)↓参照。
http://www.pref.okinawa.jp/96/kankouka/yaeyama/yonaguni.html
沖縄タイムスHP↓の地図(台湾や沖縄本島との位置関係は左上の地図参照)
http://www.okinawatimes.co.jp/tou/map.html
(ダイビングスクール) カルトマリーヌ HP↓の地図http://www.cartemarine.net/map/sakishima.html
(注2-1) 沖縄県HP(多良間空港)↓参照。
http://www.pref.okinawa.jp/airport/index/tr/tarama00.htm
沖縄県HP(多良間村ガイド)↓参照。
http://www.pref.okinawa.jp/ritou/guide/miyako/tarama_g.html
(注2-2) 沖縄県HP(下地島空港空港)↓参照。
http://www.pref.okinawa.jp/airport/index/sm/simojijima00.htm
沖縄県HP(伊良部町ガイド)↓参照。(ただし、伊良部町の人口の大半は下地島に隣接する伊良部島に集中。)
http://www.pref.okinawa.jp/ritou/guide/miyako/irabu_g.html
(注2-3) 沖縄県HP(宮古空港)↓参照。
http://www.pref.okinawa.jp/airport/index/my/miyako00.htm
沖縄県HP(平良市ガイド)↓参照。(ただし、宮古島には平良市以外に下地町・上野村・城辺町がある。)
http://www.pref.okinawa.jp/ritou/guide/miyako/hirara_g.html
沖縄県HP(下地町ガイド)↓参照。
http://www.pref.okinawa.jp/ritou/guide/miyako/shimo_g.html
沖縄県HP(上野村ガイド)↓参照。
http://www.pref.okinawa.jp/ritou/guide/miyako/ueno_g.html
沖縄県HP(城辺町ガイド)↓参照。
http://www.pref.okinawa.jp/ritou/guide/miyako/gusuku_g.html
(注2-4) 沖縄県HP(波照間空港)↓参照。
http://www.pref.okinawa.jp/airport/index/ht/hateruma00.htm
沖縄県HP(竹富町ガイド)↓参照。(ただし、竹富町の人口の大半は西表島にある。)
http://www.pref.okinawa.jp/ritou/guide/yaeyama/taketo_g.html
(注2-5) 沖縄県HP(与那国空港)↓参照。
http://www.pref.okinawa.jp/airport/index/yn/yonaguni00.htm
沖縄県HP(与那国町ガイド)↓参照。
http://www.pref.okinawa.jp/ritou/guide/yaeyama/yonagu_g.html
(注2-6) 沖縄県HP(石垣空港)↓参照。
http://www.pref.okinawa.jp/airport/index/is/isigaki00.htm
沖縄県HP(石垣市ガイド)↓参照。
http://www.pref.okinawa.jp/ritou/guide/yaeyama/ishiga_g.html
(注3) 新潟県HP(佐渡空港)↓参照。
http://www.pref.niigata.jp/sado/seibiburyotsu/sado_ap.htm
佐渡市HP↓参照。
http://www.city.sado.niigata.jp/
(注4) 国土交通省HP・PDFファイル(壱岐空港)↓参照。
http://www.mlit.go.jp/koku/04_outline/01_kuko/01_haichi/img/064iki.pdf
壱岐市HP↓参照。
http://www.city.iki.nagasaki.jp/
(注5) 下記のHPを比較されたい。
多良間村HP↓
http://www.vill.tarama.okinawa.jp/kanko/stay-service.htm壱岐市HP↓
http://www.city.iki.nagasaki.jp/sightseeing/hotel/index.html
佐渡インターネットHP↓
http://www.sado.co.jp/ryotsukankou/hotel/hotel.htm#sado
>佐渡には旅館・ホテルや民宿をはじめ、国民宿舎、ユースホステル等、
>全島にくまなく250軒以上の宿泊施設があります。
(注6) 国土地理院HP・多良間島・旧多良間空港↓周辺地形図参照。
http://watchizu.gsi.go.jp/cgi-bin/watchizu.cgi?id=36247555&slidex=495&slidey=966&w=800&h=600
(注7) 台湾空軍は最近の本土中国人民解放軍の弾道ミサイルの精度向上と高性能戦闘機配備のため、滑走路が破壊されて戦闘機が着陸不能になる場合に備えて高速道路への離着陸訓練をしました(下記、日本経済新聞HP↓ニュース参照)。しかし、戦時には着陸可能な高速道路も破壊される可能性も高いでしょう。
http://www.nikkei.co.jp/china/taiwan/20040721r2m2101721.html
>台湾空軍は21日朝、高速道路を使った戦闘機の離着陸訓練を実施した。
>中国による弾道ミサイル攻撃などで基地が使えなくなる事態を想定した演習で、道路を使う訓練は26年ぶり。
(注8) まず、仮に台湾軍機数十機が先島諸島・沖縄本島を含む沖縄県下に多数ある民間・軍用滑走路へ分散して着陸を目指したとすれば航空自衛隊の戦闘機4機2組スクランブル第1陣だけでは一部の滑走路しか対応できません。また、航空自衛隊のスクランブル機が空港上空に到着できても、約4分で着陸できる離島の領空外周から滑走路まで約二十数キロメートル付近に多数の台湾軍機が群がってる滑走路上空では空中で停止できない航空自衛隊のF15戦闘機ではスキを見ていくらでも領空侵入・着陸可能です。さらに、航空自衛隊スクランブル機が着陸態勢に入った台湾軍機を補足できて並行して飛行できて、仮に本気で台湾軍機の領空侵犯を防止しようとしても、(また、その時点で、領空侵犯機に対する航空自衛隊の交戦規定で攻撃意図のない領空侵犯の軍用機への撃墜が可能になっていたとしても)、撃墜は技術的に困難でしょう。なぜなら、航空自衛隊の領空侵犯機への対処手順は、個別機に対して、「無線警告→翼フリ→警告射撃→撃墜」という手順ですので、着陸態勢に入った低速侵入機に並行飛行して翼フリするのは失速の危険もあるからです。
(注9) 単に台湾軍機が着陸するだけでなく、燃料補給して離陸も可能です。先島諸島にはレーダーサイトのある宮古島を除けば自衛官が駐留していないからです。それどころか、もし万が一、仮に、台湾軍がイスラエル軍並に図々しくて敏腕ならば輸送機に整備要員と戦闘機用の空対空ミサイル・機関砲弾を積載して日本の先島諸島の民間空港に着陸して弾薬の補給すらしうるでしょう。そして、その場合には、後で、空戦に関する国際法上の中立義務は確定していないので、台湾側は海戦の24時間退去規則(海戦中立条約・第12条)の準用を主張するかもしれません。しかし、軍艦と違って航空機には「無害通航権」が認められていないので、準用するとすれば陸戦中立条約・第5条の「不寛容義務」(追い払う義務)でしょう。仮に、海戦の24時間退去規則にしたがって24時間以内に先島諸島の空港から退去するとすれば、台湾の滑走路修理が終わって本土中国軍機が燃料切れで引き上げた後に台湾軍機は燃料補給して出撃できるので、先島諸島の空港は臨時の台湾空軍基地も同然になってしまいます。つまり、空戦で海戦の24時間退去規則を適用すればとても中立とは言えない結果になります。
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2004年12月1日
浅見真規 asami@mbox2.inet-osaka.or.jp
台湾問題研究談話室(お気軽にどうぞ。談話用の単線型掲示板です。)