台湾における旧日本政府資産は誰のもの?

 

   台湾の旧日本政府資産は原則として日本の侵略戦争の被害にあった中国本土の人民と日本の植民地支配の被害者だった台湾原住民と国家としての中国への損害賠償の意味において放棄されたものであって、日本の植民地支配の被害をほとんど受けていない漢人移民である(漢人系)本省人やもはや中国の一地方政府になった台北政府に帰属すべきものではありません。(ただし、日本において通常は地方自治体の資産となっているような道路・水道・学校・消防署・警察署・地方の役所は除外します。)

    しかし、旧日本政府が台湾に保有していた資産や日本企業・日本人が台湾に保有していた資産は日本の敗戦後、中華民国政府によって接収され、現在の台北政府や台湾省の資産となったそうです。これは誤った分配です。(道路・水道・学校・消防署・警察署・地方の役所のような地方に専属すべき資産以外は)中国中央政府である北京政府と台湾原住民に引き渡されてしかるべきものです。(北京政府は旧日本政府資産が本来は中国本土の人民に帰属するはずだと言わずに台北政府が「一国二制度」を受け入れれば、台湾から金銭・資産は徴収しないような事を提示していますが、原則を明確にしないから本来は旧日本政府資産を受け取れないはずの台北政府や日本領時代からの漢人移民である「台湾人」の独立派が増長するのです。)

   たとえ、旧日本資産および台湾の植民地支配から利益を上げた日本企業資産は中国本土の人民と台湾原住民に分配すべきです。台湾原住民が貧しいのは地理的に不便な土地に住んでいるというだけでなく、本来は得るべき利権を手にしていないのも原因です。台湾原住民は台湾本島中央山岳地帯・東岸・蘭嶼島のインフラだけでなく、沿岸200海里経済水域と台湾全土の電力売り上げ金額の5%程度の金額を得て自治もしくは独立する権利が認められるべきです。

 

追記1.  (漢人系)本省人の台湾独立派は国民党が旧日本政府資産を不当に国民党の資産にしたと主張していますが、仮にそれが真実であっても国民党軍兵士は命がけで中国本土を侵略した日本軍と戦ったのですから、日本が中国侵略に対する損害賠償の意味で放棄した台湾の旧日本政府資産の一部を受け取る正当な権利があるので、第二次大戦中に日本側についていた台湾の漢人移民(及びその子孫)が批判するのは筋違いです。それどころか第二次大戦中に日本側についていた台湾の漢人移民(及びその子孫)が大半を占める現在の台北政府および台湾省が旧日本資産のほとんどを接収した事こそ問題です。台北政府および台湾省は接収した旧日本政府資産の(対価の)うち(漢人居住地区の台湾本島西岸・北岸の)地方自治体が保有するのが相当と考えられるものを除いて中国本土の人民(国民党軍元兵士を含む)と台湾原住民に引き渡すのが相当なのです。(ただし、北京政府が中国本土人民を代表して「一国二制度」の受け入れの見返りに中国本土の人民への(対価の)引渡しを免除する場合には、台湾原住民への引渡しだけで良い事になりますが、いかに台湾問題の平和的解決のためと言っても中国人民の権益を簡単に放棄するのは私は反対です。)

追記2.  現実問題として台北政府や台湾省が接収した旧日本政府資産や日本の植民地支配で利益を上げた日本企業資産すべてを現物として中国本土の人民や台湾原住民に引き渡すのが諸般の事情から困難もしくは不可能な場合もあるでしょうから、それに代わる方法として私の試案を示します。

   台北政府は原住民に対しては台湾本島東岸・中央山岳地帯・蘭嶼島のインフラと沿岸200海里の経済水域の引渡しと台湾全体の電力売り上げの5%程度の金額の支払いをするのが妥当でしょう。

   中国本土に対しては中国本土沿岸より台湾の実質所得が上回る事に起因する平均所得の超過分と台湾の人口の積が日本の台湾への寄与とみなし毎年その1%の半額つまり0.5%と台湾の防衛予算の半額と比較して多額の方と同じ金額程度(交渉によって決すべき)を北京政府に支払うのが妥当と思います。

 

2003年12月25日

 

浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp

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参考資料

伊藤潔 著 中公新書「台湾」 中央公論新社