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台湾独立は台湾にとって軍事的に不利である
漢民族主導の台湾独立には正当性がない(注1)ので、台湾にとって軍事的に非常に不利である。不利な点を以下に列挙する。
(1) 漢民族主導での独立宣言もしくはそれと同一視される行為は、台湾への攻撃の大義名分にされる危険がある。
(2) 漢民族主導での独立宣言もしくはそれと同一視される行為をした場合、領土の盗取として犯罪とされ戦時国際法の準用を受けれない危険があり、金門・馬祖が海上封鎖されて兵糧攻めで陥落しても、金門・馬祖の守備兵は捕虜資格を認められず、犯罪人(注2)として不利な扱いを受ける危険がある。
(3) 漢民族主導での独立宣言もしくはそれと同一視される行為をした場合、海上封鎖の大義名分とされる危険があるが、その場合、アメリカは空母が攻撃の危険にさらされるならば海上輸送の護衛をしない可能性もある。
(4) 漢民族主導での独立宣言もしくはそれと同一視される行為をした場合、アメリカの軍事支援は限定的となる可能性が高い。空母が危険にさらされない範囲での海上輸送の護衛と、早期警戒機・偵察衛星の情報の提供程度に留まる可能性が高い。(逆に、独立活動もせず「中華民国」のままでいるのに本土中国から攻撃されればアメリカは巡航ミサイルで本土中国の空軍基地を攻撃したり、中東から本土中国向けのタンカーを止めたりするだろう。)
(5) 漢民族主導での独立宣言もしくはそれと同一視される行為をした場合、諸外国の北京政府への抗議は形だけのものとなり本格的な国際経済制裁が行われない可能性が高い。そのため、本土中国は長期の戦争を行いやすくなるし、台湾への攻撃に踏み切りやすくなる。
(6) 漢民族主導での独立宣言もしくはそれと同一視される行為をした場合、民間の工場も爆撃の対象とされる危険がより高くなる。
(7) 漢民族主導での独立宣言もしくはそれと同一視される行為をした場合、本格的攻撃以外にも「台北政府への教訓」と称して弾道ミサイルを撃ち込みやすく、パトリオットpac3の弾道ミサイル迎撃率を調べ易い。パトリオットpac3の弾道ミサイル迎撃率がわかれば、その後の本格攻撃の立案が非常にしやすくなるだけでなく、アメリカのミサイル防衛システムにも不利を及ぼし、また、本土中国はロシアに詳細情報を渡す見返りとしてより高度な兵器をロシアから購入できるようになる。
(8) 独立宣言もしくはそれと同一視される行為をした場合、澎湖・金門・馬祖は中国固有の領土なので台湾軍による不当な軍事占領として実力奪回は正当な行為となる。そして澎湖諸島を人民解放軍が確保すれば台湾本島の防衛は非常に厳しくなる。
(9) 漢民族主導での独立を目指す動きは人民解放軍の軍備拡張の口実にされる。
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(注1) 台北政府は「中華民国政府」であり、かつての中国正統政府で、今でもその「中華民国憲法」は効力を一時停止してるものの中国全土が領土である事を前提としている。そして、台湾独立を目指す陳水扁政権は台北政府が中国正統政府であると主張していた蒋介石政権から平和的に連続している。つまり、政府の性格が大幅に変わっても政府としては同一なのです。ですから、漢民族主導の台北政府が独立するのは「禁反言」の法理によって今世紀前半は認められないだろう。
(注2) 日本でも内乱を起こせば内乱罪に問われる。
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2004年12月24日
浅見真規 asami@mbox2.inet-osaka.or.jp
台湾問題研究談話室(お気軽にどうぞ。談話用の単線型掲示板です。)