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中国人意識を持つ台湾青年の徴兵は重大な人権侵害
1.台湾の徴兵制の問題点
台湾は徴兵制を採ってます。台湾も宗教的理由による良心的兵役拒否は認めたようです(注)。しかし、中国から独立しようとするならば宗教的理由による兵役拒否だけでなく中国人意識ある者にも兵役拒否を認めるべきです。
なぜなら、( 小規模な武力衝突の可能性を除けば )戦争相手は中国しかありません。ここで問題なのは、台湾の中には中国と「一国二制度」による統一を望み、自己を中国人と考える人もいる事です。そういう人にとっては中国人同士の戦争となるのです。
たしかに、現在は中国と「一国二制度」による統一を望む人が台湾では少数派で、多数派は台湾の独立支持で台湾と中国は別個の国と考えてます。そして中国が台湾の独立を実力で阻止しようとすれば戦争も辞さずとの考えを持つ人が大半でしょう。
2.多数決は絶対なのか?
多数決は民主主義において必要不可欠な原理ですが、場合によっては問題もあります。
極端な例を考えれば多数決で集団内部の誰かを殺して生け贄にするという決定がされるのは正しくないでしょう。同様に何らの理由もなく他の集団を虐殺する決定を多数決でしても従う義務はないはずです。
そう考えると、台湾住民で「一国二制度」による中国との統一を望み、自己を中国人と考える者に兵役を強制するのは多数の横暴に他ならないでしょう。北京政府は台湾に共産主義を強制したり台湾の富を略奪しようとしてるわけではないからです。北京政府は香港より高度の自治を台湾に認め、台湾独自の軍隊の保有すら許容しているのです。
また、「どうでもいいけど、どちらかというと独立が良い」という1票と、「同じ中国人同士絶対に戦いたくない」という1票が、同じ1票の価値が等しいというのは形式的な1票の平等であっても実質的な平等なのか疑問です。実際の選挙において「自ら戦っても独立したい」という1票と、「どうでもいいけど、どちらかというと独立が良い」という1票は区別されてないでしょう。しかし、同じ1票でも重みは全く違うはずです。
3.原則徴兵制の「良心的兵役拒否」での代替役務選択より、志願制にすべきです。
「自ら戦っても独立したい」というのが多数なら兵役は志願制こそがふさわしいでしょう。原則徴兵制の「良心的兵役拒否」での代替役務選択もできるなどというのは、はじめに兵役義務が全員にあるのを前提にした制度です。発想が台湾の場合にはふさわしくありません。
軍事費は多数決で全体で負担するのが相当としても、北京政府の要求が実害のないものであって、「一国二制度」を受け入れれば戦争回避できるならば「自ら戦っても独立したい」者達の志願兵だけで戦うべきでしょう。それこそが真の民主主義でしょう。
2004年3月5日
浅見真規 asami@mbox2.inet-osaka.or.jp
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(注)謝怡芬さんの「謝小姐の台湾日記」HPの「兵役制度の見直し」
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