国連改革が中華民国(台湾)との国交回復ラッシュにつながる可能性 

 

現時点(2004年10月14日)では、国連憲章の文言(注1)には「中華民国」が安全保障理事会常任理事国となったままです(もちろん、中華人民共和国と読み替え(注2)されてはいます)。ですから、将来、安全保障理事会に関する国連改革(国連憲章改正)で「中華人民共和国」と変更されるでしょう(注3)。この事は、国連改革(国連憲章改正)の20年程度のちに欧米先進諸国の中華民国(台湾)と国交回復ラッシュを誘発するかもしれません。

なぜかというと、欧米先進諸国が台湾と国交を持っていない理由の一つが台北政府が中国本土の実効支配を失ったにもかかわらず国連憲章の文言における中国の正統政府の呼称である「中華民国」と自称し続けている事だからです。

しかし、将来の国連改革(国連憲章改正)で国連憲章の文言が「中華民国」から「中華人民共和国」と変更されれば、名実ともに中国の正統政府が「中華人民共和国」となりますので、台湾が「中華民国」と称していても「中華民国」を台湾として国交回復する余地が生じます。もちろん、国連改革(国連憲章改正)の直後には国交回復したりしないでしょうし、また単独で「中華民国」を台湾として国交回復すれば北京政府に断交され中国本土市場を失いますので単独では国交回復しないでしょうが、国連改革(国連憲章改正)の後に20年程度間を置いて本土中国が完全民主化されなければ欧米先進諸国が足並みを揃えて台湾を「中華民国」として国交回復する可能性は十分にあります。

そういうリスクがあっても北京政府は国際的立場から国連改革(国連憲章改正)を拒否できないですし、どのみち、国連改革(国連憲章改正)がなくとも今世紀末までに欧米先進諸国が足並みを揃えて台湾を独立国として国交樹立するでしょうから時期が早まるだけと諦めざるをえないでしょう。

すなわち、北京政府としては国連改革(国連憲章改正)により台湾問題解決のタイムリミットが早まって2030年頃になる可能性が高いと覚悟せねばならないでしょう。

 

(注1) 下記HP参照。

http://www.unic.or.jp/know/kensyo.htm (国連広報センターHP:日本語)

http://www.un.org/chinese/aboutun/charter/charter.htm (国連HP:中国語・簡体字)

http://www.un.org/aboutun/charter/index.html (国連HP:英語)

 

(注2) 国連憲章の文言に「中華民国」とある事についての詳細は、次の項目でまとめてあります。

国連憲章では中華民国が常任理事国?

 

(注3) 北京政府が国連総会で中国の正統政府と認められた直後にも国連憲章61条の改正がされましたが、それは安全保障理事会に無関係な改正であり、また安全保障理事会常任理事国を規定する23条は単なる呼称の問題だけだったので放置されたままだったのでしょう。しかし、安全保障理事会常任理事国についての改正がされれば中国についての「中華民国」の呼称も「中華人民共和国」に変更されるでしょう。

 

*****

2004年10月14日

浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp

談話室・台湾海峡 (お気軽にどうぞ。談話用の単線型掲示板です。)

討論区・台湾海峡

目次