3月14日爆発時放出キセノン133は前日の弁開放後の連鎖反応で生成
3月14日の福島第一原発3号機建屋の爆発でキセノン133が大量に放出された事は、前日の弁開放後に連鎖反応が起きた事の証拠です。福島第一原発正門での異常な中性子の測定値(注1)も、連鎖反応が起きた事を裏付けています。
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2011年3月11日14時46分に発生した海溝型巨大地震「2011年東北地方太平洋沖地震」の直後に運転中の福島第一原発の1号機・2号機・3号機は自動停止したと原子力安全・保安院はそのホームページの2011年3月11日14時46分付けプレス発表記事(注2)で公表しています。
また、2011年3月13日午前8時41分に3号機の原子炉格納容器内の圧力を降下させるためベント弁開放し原子炉内の空気を放出したと東京電力は発表(注3)しています。その後、同日(2011年3月13日)午前9時20分に福島第一原発正門で毎時281.700マイクロシーベルトの空間放射線量が測定(注4)されました。
しかし、2011年3月14日午前11時1分頃、3号機の原子炉建屋で爆発が起き、その後、同日(2011年3月14日)午後9時37分に福島第一原発正門で毎時3130.0マイクロシーベルトという高い空間放射線量が測定(注5)されました。
その後、千葉県千葉市にある日本分析センターがホームページで公表している資料「空間放射線量率の測定結果について(平成23年3月16日(水)12時現在)」(注6)では、2011年3月15日に二回高い空間放射線の測定値のピークが観測され二回目がより高い値だった事から、空間線量観測値の最初のピークが2011年3月13日午前8時41分の3号機の弁開放に伴う放射性物質飛来を原因とする空間放射線の上昇で、空間線量観測値の二度目の高いピークが2011年3月14日午前11時1分頃に起きた3号機原子炉建屋爆発で放出された放射性物質飛来を原因とする空間放射線の上昇と考えられます。
そして、重要な事は、日本分析センターがそのホームページで4月1日付けで公表している資料「日本分析センターにおける空間放射線量率と希ガス濃度調査結果」(注7)によれば3号機建屋爆発で放出された放射性物質飛来が原因と推定される2011年3月15日の二回目の空間放射線量測定値のピークでの空間放射線量上昇の原因の90%以上が核分裂反応に伴って生成されるキセノン133に起因している事と、3号機建屋爆発の前日(2011年3月13日)の弁開放によって放出された放射性物質が原因と推定される一回目のキセノン133の放射能濃度よりはるかに高い事です。
この事は2011年3月13日午前の3号機の弁開放後に原子炉で核分裂連鎖反応が起きキセノン133が大量発生した事を示しています。さらに、福島第一原発正門で通常運転では観測されない中性子が観測された事(注1)も、連鎖反応が起きた事を裏付けています。
[注意] 当初の2011年4月8日版の記事のタイトル及び本文で「超臨界」と決めつけましたが、原子炉内の水が減ったか無くなっていれば、中性子が水で遮断されないので中性子発生数が多くなくとも(超臨界でなくても)外部に多くの中性子を放射する可能性があったので、「超臨界」と断定できないため「超臨界」の記述は一旦撤回しタイトルも「3月14日爆発時放出キセノン133は前日の弁開放後の超臨界連鎖反応で生成」から「3月14日爆発時放出キセノン133は前日の弁開放後の連鎖反応で生成」に変更しました。[2011年4月9日]
2011年5月6日 (過去の記事・4月8日当初版)
(注1) 東京電力・相談室・唐沢氏の御回答によれば、2011年東北地方太平洋沖地震発生までの正常運転では福島第一原発正門では中性子線は測定限界以下であったとの事です。
(注2) 原子力安全・保安院ホームページの2011年3月11日14時46分付けプレス発表記事・地震被害情報(第1報)(3月11日14時46分現在)参照。
http://www.meti.go.jp/press/20110311017/20110311017.pdf
(注3) 東京電力ホームページの3月13日付けプレスリリース記事・「東北地方太平洋沖地震における当社設備への影響について【午前10時30分現在】」参照。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/11031307-j.html
(注4) 東京電力ホームページの3月13日付け記事・「福島第一原子力発電所の現状について【午後10時41分時点】」参照。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110313r.pdf
(注5) 東京電力ホームページの3月14日付け記事・「福島第一原子力発電所の現状について【午後10時35分時点】」参照。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110314s.pdf
(注6) 日本分析センターがホームページで公表している資料「空間放射線量率の測定結果について(平成23年3月16日(水)12時現在)」参照。
http://www.jcac.or.jp/lib/senryo_lib/senryo_001.pdf
(注7) 日本分析センターがそのホームページで4月1日付けで公表している資料「日本分析センターにおける空間放射線量率と希ガス濃度調査結果」参照。
http://www.jcac.or.jp/lib/senryo_lib/nodo.pdf