3号機放出放射性物質過小評価は地元住民悶絶死の危険性隠し

 

 


3号機原子炉建屋爆発で発生した噴煙柱は南東方向の海側に移動していきました(注1)

 (YouTubeにjabberwockknight氏が投稿された福島第一原発3号機原子炉建屋爆発時の動画参照)

結局、事故当時に海で放射線量の計測がされてなかった事を奇貨として、3号機原子炉建屋爆発時の風向について「西南西」の風という虚偽の風向でSPEEDI(注2)のシミュレーションをし、噴煙柱経路下の海底土の採取調査せず、そして3号機原子炉建屋爆発で発生した噴煙柱の経路を解明せず、政府や東京電力は3号機原子炉建屋爆発時に放出された放射性物質の量を過小評価(注3-1)(注3-2)したのです。

 

3号機建屋爆発時に放出された放射性物質量の過小評価をした主な理由として下記の理由が考えられます。

 

(1)チェルノブイリ原発事故に匹敵する放射能量である事を隠すため。

(2)日本国内よりアメリカ方向に多くの放射性物質が放出された事実が一般民間アメリカ人に発覚すればアメリカ国内で巨額の損害賠償訴訟が起きるので、日本国内よりアメリカ方向に多くの放射性物質が放出された事実を隠すため。

(3)日本の漁業関係者から巨額の損害賠償請求されるのを防止するため。

(4)MOX燃料を使用する原子炉の危険性を隠し、福島第一原発3号機でのMOX燃料使用を容認したと言われる現知事の責任を隠すため。

(5)将来、別の原発事故で、爆発で発生する噴煙柱が地元の市町村を直撃した場合、地元住民が急性障害悶絶死(注4)する可能性を隠すため。

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とりわけ、上記の(5)の理由が最も大きいと思われます。

 

原子炉建屋爆発で発生した噴煙柱が地元市町村の住民居住地を直撃すれば、多数の住民が悶絶死する危険性が明らかになれば、今後の原発再稼動にとって、地元の了解を得る上で決定的障害になるからです。

 

政府は、食品に含まれる放射性物質の基準を厳しくして食品の放射性物質の暫定規制値を引き下げ、今回の福島第一原発事故のほとぼりが冷めるのを待って、今回の福島第一原発事故で周辺住民の被曝による直接死はなかった(注5)と調査委員会が発表してくれるのを待っていたと思われます。そこで、そういう安全神話再開の障害になる3号機原子炉建屋爆発で発生した噴煙柱直撃の危険性を隠そうとしたのでしょう。

 

1999年9月30日に東海村で発生したJCO臨界事故での被爆による急性障害で亡くなられた被害者の写真(注4)はあまりに悲惨な死に方を記録したものだったからです。

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尚、3月の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)による福島第一原発事故では、大地震から大津波到達まで数十分の時間的余裕があったので(不完全だった可能性はありますが)一応は制御棒が入って一応は原子炉が停止したのに、あれだけの事故が起きたのです。将来、もし、仮に、他の原発の直下でマグニチュード7以上の地震が起きて、冷却系の機能不全のみならず、制御棒関係の機能不全または燃料棒破損が生じ原子炉が制御不能になれば、3月に起きた福島第一原発事故をはるかに超える事故が地震の数時間後に発生する危険もあります。その場合は、原発から15kmを超える地域にまで急性致死圏が広がるかもしれません。

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(注1)3号機原子炉建屋爆発時の映像は(私の知る限り)日本のテレビでは読売系列でのみ放映されただけで、YouTubeの動画を見ていない人では知らない日本人も多いと思われます。(外国ではテレビ放映されたようなので外国人の方が3号機原子炉建屋爆発シーンを見てると思われます。)そういうわけで、日本では3号機原子炉建屋爆発で発生した噴煙柱が風で海側に移動していった事を知らない人が多いと思われます。

 

(注2)文部科学省HP資料参照

http://www.bousai.ne.jp/speedi/20110314rok/201103141100.pdf

 

(注3-1)原子力安全保安院HP資料参照

http://www.meti.go.jp/press/2011/08/20110826010/20110826010-2.pdf

 

原子力安全委員会HP資料参照

(福島第1原子力発電所事故に伴う 131 Iと 137 Csの大気放出量に関する試算 )

http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan031/siryo4-2.pdf

(福島第一原子力発電所から大気中への放射性核種(ヨウ素131、セシウム137)の放出総量の再試算について)

http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan064/siryo3.pdf

 

(注3-2)10月下旬になって、ヨーロッパの研究者により福島第一原発事故による放出放射性物質についての日本政府や東京電力による過小評価が指摘されています。

 

(読売新聞HPニュース記事参照)

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20111027-OYT1T00072.htm?from=main5

> 東京電力福島第一原発事故の初期に放出された放射性物質セシウム137は

>約3万5000テラ・ベクレルに上り、日本政府の推計の2倍を超える可能性が

>あるとの試算を、北欧の研究者らがまとめた。

>英科学誌「ネイチャー」が25日の電子版で伝えた。

 

(Natureのホームページのニュース記事参照)

http://www.nature.com/news/2011/111025/full/478435a.html

 

(Atmospheric Chemistry and Physicsホームページ資料・A. Stohl, P. Seibert, G. Wotawa, D. Arnold, J. F. Burkhart, S. Eckhardt, C. Tapia, A. Vargas, and T. J. Yasunari共著・アブストラクト)

[Xenon-133 and caesium-137 releases into the atmosphere from the Fukushima Dai-ichi nuclear power plant: determination of the source term, atmospheric dispersion, and deposition]

 

http://www.atmos-chem-phys-discuss.net/11/28319/2011/acpd-11-28319-2011.html

 

(読売新聞HPニュース記事参照)

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20111029-OYT1T00071.htm?from=main6

> フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は28日までに、

>東京電力福島第1原子力発電所事故で海洋に流出した放射性物質セシウム137の総量が

>2万7000テラ・ベクレル(テラは1兆倍)に上ると推計する試算を発表した。

>東電が公表している数値の20倍にあたるとしている。

>同研究所は、過去に経験したことのない規模の放射性物質の海洋流出になると指摘した。

 

 

(注4) 恐ろしく衝撃的な写真ですので閲覧については十分に御注願います。

 

「本質.com」のJCO被害者画像への「Tiny Message」からのリンク

http://tinymsg.appspot.com/BaX2

 

(注5)大熊町の双葉病院で福島第一原発事故中に数十人の寝たきり老人患者が亡くなられました。その死亡原因が、多くの病院職員が寝たきり老人患者を放置して避難した事による原発事故での間接死なのか、急に高濃度の放射性物質を吸入した事によるショック死のような直接死なのか、それとも双方の相乗作用なのか、現時点では原因が不明です。


2011年10月29日

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浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp