福島第一原発3号機建屋爆発時の噴煙柱は北西風により海側の南東方向に移動した
福島第一原発3号機建屋爆発時の風向きについて、SPEEDI (緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム) による放射能影響予測図や福島第一原発の北西方向の飯舘村に特に高濃度の放射性物質が降下した事から南東風が吹いていたと誤解してされてる方がおられます。震災により福島県東部の浜通り地方の気象庁の気象観測データの欠落等の理由からか、専門家でも誤解されてる方(注1)もおられるようです。しかも、驚くべき事に文部科学省のSPEEDIでも「西南西・毎秒4.8m」として誤った風向・風速でシミュレーションしているのです(注2)。
しかし、実際には、福島第一原発3号機建屋爆発時の2011年3月14日11時1分(注3)には福島第一原発3号機建屋付近で北西風が吹いており3号機建屋爆発時に発生した噴煙柱は海側の南東方向に移動したのです。
まず、福島第一原発3号機建屋爆発時の映像をYouTubeにjabberwockknight氏が投稿された動画で見ると、3号機建屋爆発時に発生した噴煙柱が画面右方向(南方向)に移動し、かつ、4号機建屋の後ろ(東側)を移動しているのがわかります。これは、噴煙柱が北西風によって海側の南東方向に移動した事を示しています。
動画で見ると噴煙柱は爆発後約12秒で約120m南の4号機原子炉建屋の後ろに到達してますので移動速度の南方向成分は秒速約10mです。実際には南東4号機原子炉建屋の後ろに到達してるので南東方向への移動ですので「三平方の定理」から、風速約14mの北西風によって海側の南東方向に移動した事がわかります。
また、東京電力が公開している資料からも福島第一原発3号機建屋爆発時の2011年3月14日11時1分には北西風であった事がわかります(注4)。
問題なのは、政府・文部科学省のみならず、原子力安全委員会、原子力安全保安院も3号機原子炉建屋爆発時の風を「西南西・毎秒4.8m」として誤った風向・風速として、3号機原子炉建屋爆発時に発生した極めて放射能の高い噴煙柱の軌跡を追跡せずに放置し、3号機原子炉建屋爆発時に放出された放射性物質の量を過小評価している事です。
早急に、福島第一原発の南東方向の海底土を採取して3号機原子炉建屋爆発時に発生した極めて放射能の高い噴煙柱の軌跡を追跡し解明すべきです。
2011年10月12日(当初2011年3月8日版)
(注1) たとえば、北本朝展・国立情報学研究所准教授の「2011年3月11日〜25日の福島第一原発周辺の風向・風速 (地上 / 10m / 詳細)」
における2011年3月14日11時の福島第一原発近傍で西風や南西風や西南西風と表示されてます。
(注2) 文部科学省HPの緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)等による計算結果
における緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)単位量放出を仮定した予測計算結果(これまでに行った1時間毎の予測)参照。
http://www.bousai.ne.jp/speedi/20110314rok/201103141100.pdf
(注3) 福島第一原発3号機建屋爆発時刻については、下記の東京電力HP公開資料参照。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/11031411-j.html
>本日午前11時1分頃、3号機原子炉建屋で、大きな音が発生し、白煙が発生しました。水素爆発を起こした可能性が考えられます。
(注4) 東京電力HP公開データによれば、2011年3月14日午前11時0分のMP-3(第3モニタリング・ポスト)における風向は「北東」であり、3号機建屋爆発時の2011年3月14日午前11時1分のMP-4(第4モニタリング・ポスト)での風向は「北西」である。
下記の東京電力HP公開データ(3月11日〜21日)参照。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110528d.pdf