(V055-P030) 大根島火山のステルス・一気噴火モデル
要旨
(これは予稿のHTML版です)
T.モデル構築の必要性
島根県・鳥取県境の中海に浮かぶ大根島火山は玄武岩溶岩でできた小さな成層火山(注1)です。日本火山学会のデータ(注2)によれば最終噴火年代は12万年前とされてます。(ただし、補足参照)
大根島火山は安全と考えられ、火口丘の大塚山山頂から300m以内に保育園・中学校・町役場があります。鳥取県西部地震までは、私も大根島火山は安全だったと思ってます。しかし、鳥取県西部地震余震震源域の延長線はピッタリと大根島に向かっており、鳥取県西部地震以後は噴火災害の起きる危険が上昇したと思ってます。
その点を明確にするため大根島火山のステルス・一気噴火モデルを構築しました。
U.モデルの仮定
仮定1:大根島火山の噴火の前兆現象はつかみにくい。
[コメント]
粘性の低い少量のマグマの上昇は観測しにくいからです。
仮定2 :
大根島火山の噴火においてはマグマは一気に上昇する。
[コメント ]
仮に、少量の高温で固化しやすい玄武岩マグマが冷えた火道をゆっくり上昇すれば途中で固まってしまうでしょう。ですから、大根島火山の噴火においてはマグマは一気に上昇する必要があるのです。
仮定3
: 大地震は大根島火山の噴火を引き起こす可能性がある。
[コメント]
大根島は山陰にあるため、定常的なマグマの上昇のある火山フロントやホットスポット上にはありません。そのため、大地震は大根島火山の噴火を引き起こす可能性があると考えやすいでしょう。
V.補足
日本火山学会のHPの地球科学的データ(注2)では大根島火山の最終噴火年代は12万年前となってますが、「出雲国風土記」による8世紀の植生・土地利用形態からは、大根島より小さく生成過程も同じと考えられる大根島北東に隣接する江島と比較すれば、その少し以前に火災があった可能性が推測され、縄文時代以降にも小規模噴火があった可能性があるようにも思えます。
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(注1)徳岡隆夫・元・島根大学総合理工学部教授の
「大根島・弓ヶ浜の地下水問題」の論稿のある下記HPには以下のように記述されてます。
>大根島は約25万年前の氷河期に陸上に噴出した成層火山
http://vege1.kan.ynu.ac.jp/nakaumi/3/tikasui.htm
(注2)大根島火山に関する日本火山学会HP参照
http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/tchiba/volcano/catalog/volc-43.htm
(注3)講談社学術文庫「出雲国風土記」荻原千鶴訳注・第5刷
p.111-118 (島根郡)参照
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