2.台湾-宍道褶曲帯は火山フロントでもホットスポットでもない。

台湾-宍道褶曲帯の小規模玄武岩火山分布域が火山フロントでない根拠として以下の理由がある。

(1)山陰には第三紀から小規模玄武岩火山が存在したが、第三紀には近畿中部や四国に火山フロントによると推定される火山が存在した。(2)火山フロントを示す深さ約100kmの微小地震の分布の列は九州中央部を南北に縦断しているが、瀬戸内海の手前で止まっており、 微小地震のない山陽南部の青野山火山群付近にまでフィリピン海スラブによる火山フロントを認めうるとしても、その先までは火山フロントとは言いがたい。(ただし、大江高山・三瓶山・大山は中規模で珪酸比率の高いマグマによる火山なので火山フロント的影響を受けている可能性はある。)(3)火山フロントの火山の規模は寄生火山以外は中規模以上で、山陰の小規模玄武岩火山は少量だが高温のマグマが関与してると考えられタイプが異なる。(4) 台湾-宍道褶曲帯上には西日本の大半の小規模玄武岩火山と台湾本島のすべての小規模玄武岩火山が分布しており、それらは火山フロントの火山列より大陸側に位置する。

台湾-宍道褶曲帯の小規模玄武岩火山分布域がホットスポットでない根拠として以下の理由がある。

(1)台湾-宍道褶曲帯の小規模玄武岩火山は定常的マグマの上昇がなく規模が小さい。 (2)台湾-宍道褶曲帯上には西日本の大半の小規模玄武岩火山と台湾本島のすべての小規模玄武岩火山が分布しており、ホットスポットと考えるには同時期に活動している火山分布が長大すぎる。

  台湾-宍道褶曲帯に小規模玄武岩火山が多く分布する事から、台湾-宍道褶曲帯には高温・少量のマグマを非定常的に供給する地下構造があると考えられる。

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2004年5月11日

 

浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp

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