台湾-宍道褶曲帯の磁気異常の認められる地域(注1)は本州島西部においては小 規模玄武岩火山の分布と一致している(注2)。台湾-宍道褶曲帯全体として見ても西日本の小規模玄武岩火山の大部分と台湾本島のすべての小規模玄武岩火山がそこに含まれる。尚、台湾の小規模玄武岩火山と断層は位置的対応関係が高いようであり(注3)、断層が玄武岩マグマ上昇に関与した可能性が高いように思われる。
上図の説明
黄色の帯状領域は日本部分については磁気異常を基に推定した台湾-宍道褶曲帯を示す。ただし、壱岐-小値賀島間には磁気異常が認められなかったので緑色で示した。また、台湾については断層と小規模火山分布を基に推定した。赤色の帯状領域は深さ約100kmの微小地震の発生領域と実際の海洋側火山の列を基に推定したフィリピン海スラブの沈み込みによると考えられるユーラシアプレート上の火山フロントを示す。ただし、ピンク色の帯状領域は青野山火山群の存在による推定領域である。薄い黒色の帯状領域は日本の山陰においては大江高山・三瓶山・大山、台湾本島北部においては大屯火山群・基隆火山群のようなフィリピン海スラブ沈み込みによる火山フロント的影響の可能性が推測される領域を示す。地震の深度別分布と海底地形から台湾の蘭嶼島火山はフィリピン海プレート(ルソン弧)のユーラシアプレートへの乗り上げ(相対的に言えば、ユーラシアスラブの沈み込み)によるフィリピン海プレート(ルソン弧)上の火山と判断し赤色の帯状領域に含めなかった。尚、青色の実線はユーラシアプレートとフィリピン海プレートとの境界を示し、青線より左上がユーラシアプレートで、青線より右下がフィリピン海プレートである。尚、フィリピン海プレートの南西部分の台湾の蘭嶼島の東沖の青色の破線より蘭嶼島側はルソン弧である。
上図作成上の参考資料:台湾-宍道褶曲帯の形状は日本列島の地質編集委員会(1996)と、防災科学技術研究所HPのHi-netデータと、日本火山学会HPの「日本の第四紀火山カタログ」と、台北市立第一女子高級中学地球科学学習HPと、東京大学地震研究所地震予知情報センターHPの台湾地震特集の「GPSで見た台湾地震」(ただし、台湾付近のフィリピン海プレートの形状については同意しない。台湾本島東岸の海岸山脈の火山と台湾の緑島火山はフィリピン海スラブ沈み込みによるユーラシアプレート上の火山フロントと推定した。)と、中国(台湾)の国立自然科学博物館HPと、アリゾナ大学院生のMegan L. AndersonさんのHPを参考に帯状領域を推定した。
注釈
(注1) 日本列島の地質編集委員会(1996)参照。
(注2) 六連島は台湾-宍道褶曲帯には含まれない。
西日本全体で見ると、台湾-宍道褶曲帯に属する小規模玄武岩火山の大半が属する。西日本の第四紀の小規模玄武岩火山では、田倉山火山・玄武洞火山・目坂・神鍋火山群・味取・貫 田・葛畑・備・扇の山・倉吉玄武岩・横田・野呂玄武岩・大根島・阿武火山群(ただし、大半は安山岩質火山)・壱岐・小値賀島・京ノ岳・鬼岳・富江・黄尾嶼 が台湾-宍道褶曲帯に属し、隠岐島後・六連島・黒瀬・川内玄武岩類・青敷・米丸・住吉池・大野岳・稲村岳が台湾-宍道褶曲帯に属さない。また、台湾本島の 小規模玄武岩火山はすべて台湾-宍道褶曲帯に属すると推定される。(注3) 台北市立第一女子高級中学地球科学学習HP 参照。
http://earth.fg.tp.edu.tw/learn/twrock/class1/location14.htm
中国(台湾)国立自然科学博物館HP 参照。http://www.nmns.edu.tw/89volcano/out-231.htm
http://www.nmns.edu.tw/89volcano/out.htm
参考文献
日本列島の地質編集委員会(1996):日本列島の地質, 丸善株式会社, p.4-5, p.103
参考HP
防災科学技術研究所HPのHi-netデータ
http://www.hinet.bosai.go.jp/eq_inf/hinet/index.php
日本火山学会HPの「日本の第四紀火山カタログ」
http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/tchiba/volcano/index.htm
台北市立第一女子高級中学地球科学学習HP
http://earth.fg.tp.edu.tw/learn/twrock/class1/location14.htm
東京大学地震研究所地震予知情報センターHPの台湾地震特集の「GPSで見た台湾地震」
http://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/topics/taiwan/gps.html
中国(台湾)の国立自然科学博物館HP
http://www.nmns.edu.tw/89volcano/out.htm
アリゾナ大学院生のMegan L. AndersonさんのHP
http://www.geo.arizona.edu/geophysics/students/anderson/taiwan/geophysics.html
2004年5月20日
(談話室)「オクトパスアイランド」 (お気軽にどうぞ)