フィギアスケート・ペアの高橋成美選手はオリンピックに出場できるか?
(2012年8月末までの期間限定記事)
現行のオリンピック憲章の標準的解釈では日本代表としてオリンピックに出場するには日本国籍が必要と考えられています。ところが、フィギアスケートのペア種目の高橋成美選手のパートナーのマーヴィン・トラン選手は東南アジア系カナダ人で現時点では日本国籍が無いため、このままでは高橋成美・トラン組は日本代表としてオリンピックに出場できなくなると考えられます。
ところが、外国人が日本国籍を取得する帰化の要件で通常は「引き続き五年以上日本に住所を有すること」が条件になっているため、日本に住所の無いマーヴィン・トラン選手は次のソチ・オリンピックには通常の方法では日本国籍取得できません。(尚、次々回の平昌オリンピックですら通常の方法では今年中に日本に住所を取得しないと日本国籍取得が困難になると思われます。)
国籍法は総務省HPのe-Govの下記の条文参照 (尚、本文の国籍法のリンク先も総務省HPのe-Govの下記の条文) |
そのため、高橋成美選手のオリンピック出場に関して次の可能性があると考えられます。
(1)国籍法9条の日本に特別の功労のある外国人としてトラン選手の帰化(大帰化)
(4)トラン選手が日本に居住しソチは諦め平昌オリンピックまでに通常帰化
(10)オリンピック出場を諦めて世界選手権のメダル獲得に専念する
以上の可能性のそれぞれについて下記のメリットとデメリットがあると思われます。
(1)国籍法9条の日本に特別の功労のある外国人としてトラン選手の帰化(大帰化)
国籍法9条には「日本に特別の功労のある外国人」については特例として法務大臣が国会の承認を得て帰化を許可する事ができる規定がありますがトラン選手の場合には難しいと考えられます。
もし仮に、トラン選手が高橋成美選手と結婚すれば、居住要件を大幅に緩和する国籍法改正も可能性がありえますが、トラン選手はカナダのラコステ選手と親密な関係と推測される(注8)ので、この手も難しいと考えられます。
法的には特別法制定という非常手段も考えれます。
たとえば、カナダ出身のアイスダンスのタニス・ベルビン選手の場合、(カナダ国境に接した)アメリカのデトロイトに練習拠点を移しアメリカ人男性パートナーと組んだ直後のソルトレイクシティ・オリンピックはアメリカ国籍取得できなかったため出場できず、その次のトリノ・オリンピックにもアメリカ国籍取得が間に合わなくなりかけて、特別法制定でアメリカ国籍を取得したそうです。
タニス・ベルビン選手の特別法制定によるアメリカ国籍取得の経緯は、下記のwikipedia「タニス・ベルビン」参照。 |
ただし、タニス・ベルビン選手の場合とトラン選手の場合には次の差異があると思われます。
(a)タニス・ベルビン選手の場合、5年以上前から練習拠点が代表出場国にあった点
(b)タニス・ベルビン選手がフランス語系カナダ人だったとしても代表出場国アメリカの公用語の英語はある程度は話せたはずなのに、トラン選手は日本語をほとんど話せない点
(c)トラン選手が日本国籍取得希望表明していない点(注1)
(d)ベルビン・アゴスト組は実力が高くトリノ・オリンピックで銀メダル獲得したが、高橋成美・トラン組はオリンピック・メダル獲得できる可能性が五分五分である点
もし仮に日本がトラン選手のオリンピック出場のためタニス・ベルビン選手の場合より甘い条件で特別法制定すれば海外からtwitter等でズルイと批判され日本国内では憲法の平等原則違背だとの批判が起きる可能性があります。また、国会議員にとって、最も問題なのはトラン選手が明確な形で日本国籍取得希望表明していない点(注1)と思われます。当の本人のトラン選手が明確な形で日本国籍取得の希望を表明も御願いもしていないのに特別法制定してオリンピックでメダルが獲れなかったとなれば特別法制定に尽力した国会議員のメンツ丸潰れになるからです。それを考えるとトラン選手が明確な形で日本国籍取得希望表明していない現時点での特別法制定の可能性はほとんど無いと思われます。
(4)トラン選手が日本に居住しソチは諦め平昌オリンピックまでに通常帰化
今年中に日本に居住しないと平昌オリンピックまでに日本国籍取得が困難になるかもしれません。ところが、日本で練習拠点やコーチを得るのが難しいとの指摘もあるようです。また、トラン選手が日本に居住するにはトラン選手の決断と日本スケート連盟や企業等の支援が必要でしょう。カナダのラコステ選手と恋仲と噂されるトラン選手は日本での居住に消極的かもしれません。
現行の2011年版オリンピック憲章の規則41によればトラン選手がカナダ国籍しか持たなければ、オリンピックに出場するにはカナダ・オリンピック委員会によるエントリーが必要です。しかし、規則41の細則4では他国の代表となりうる可能性が規定されています。この規則41の細則4は植民地の独立や国境変更等の国際法上の変動のみを前提としていると捉えるのではなく、異なる国籍のパートナーが組む事が常態化しているフィギアスケートのペア競技やアイスダンス競技の場合にも適用可能との新解釈の余地もあるように思えます。
2011年版オリンピック憲章は下記の日本オリンピック委員会HP資料参照 http://www.joc.or.jp/olympism/charter/pdf/olympiccharter2011.pdf |
ただし、この新解釈の場合もエントリーにカナダ・オリンピック委員会の協力が必要ですし、純粋な二人だけのペア競技出場なら可能性があっても団体競技出場は認められにくいでしょう。
オリンピックは国籍を重視するので、純粋な二人だけのペア競技出場なら異国籍同士のパートナーの一方の国を代表して出場を認める改正の可能性があっても、団体競技出場は認められにくいでしょう。
高橋成美・トラン組が2012年の世界選手権で銅メダルを獲れたのは、どちらかというと高橋成美選手の優秀さ・柔軟性と小柄さによるところが大きく、トラン選手が特に優秀だからとは考えにくいと思われます。また、トラン選手はラコステ選手と恋仲と噂されています。
しかも、上述のようにソチ・オリンピックまでにトラン選手の日本国籍取得が極めて困難な状況であるため、オリンピックのフィギアスケート団体戦で日本チームがメダルを狙うには実質的に唯一の選択肢と思われます。さらに、日本人同士が組めば引退後も日本でのペア競技者の育成面で活躍が期待でき日本のペア競技にとって有利と思われます。
このような状況では、常識的にはオリンピック出場を目指してパートナー組み替えも視野に入れるべきとは思われますが、日本人では現役のフィギアスケート男性ペア選手が全くいない状況が最大の問題となります。尚、ソチ・オリンピックに団体種目の新設が確定する以前で、トラン選手がラコステ選手と恋仲になる直前と思われる2010年のクリスマス前のインタビューでは高橋成美選手はパートナー組み替えに否定的だったようです(注2)。
フィギアスケートに詳しくないシロウトの私の考えでは、現役だけでなく引退選手も含めてフィギアの他種目の選手まで考えると身長170cm以上(注3)で数人程度は体格・年齢・技能から可能性があり、場合によっては仮にトラン選手がオリンピックに出場した場合より好成績を出せる選手がおられるかもしれないと思っています。ただし、ペア競技の危険性等による事故や失敗のリスクもあり、高橋成美選手や相手方候補の男性選手の都合や意向等もあるため部外者でシロウトの私には予測不能です。
尚、ペアの上位選手がパートナー組み替えする場合は直後のシーズンから好成績を上げる事も多い(注7)ようですが、それはペア競技の経験のある現役選手と組み替える場合の話です。現在、日本人では現役の男性ペア競技選手がいないため、高橋成美選手が引退選手やシングル等の他種目の選手と組む場合はパートナー組み換え直後のシーズンの成績は全く期待できません。純粋な二人だけのペア競技に関してはソチ・オリンピック出場は期待せず運が良ければ出れるかもしれないくらいの感覚であせらずに安全で故障の無いように練習すべきでしょう。それでも日本はシングル競技の選手が優秀なのでソチ・オリンピックの団体戦には出場できる可能性が高く、組み換え2シーズン目ではシングルの上位選手と組めばトラン選手と組むより好成績が出せる可能性もあります。トラン選手と組み続けた場合は仮にトラン選手が特別法で日本国籍を取得できてソチ・オリンピックに出場できると仮定しても二人だけの純粋なペア競技のみならず団体戦でもメダルを獲得できない可能性が50%以上あると思われる(注4)ので、ソチ・オリンピックの団体戦でメダルを狙うなら、余裕を持って三回転ジャンプを飛べる日本人男性シングル競技選手と組む方が良いかもしれません。
もし、パートナー組み換えをするならば、できるだけ早めに組み替えないと混乱を引き起こしたり、トラン選手が次のパートナー探しで苦労(注9)される可能性が高まるので、できるだけ7月末までに決断されるのが望ましいでしょう。[ そのため、この記事は今年8月末までの期間限定記事としておきます。 ]
国籍問題回避のため出場時のみ臨時の別パートナーと組む方法では、低レベルの演技しかできないため、まともな男子選手は組まないだろうと思われます。そのため、大ブーイング受けても平然と演技できる男性お笑い芸人からスケートのできる者を選んで特訓するしかないでしょう。ただ、お笑い芸人でも運動能力の高い者がいるかもしれないので、運が良ければ最下位は免れるかもしれません。それでもメダルは不可能でしょう。
高橋成美選手がカナダ国籍取得してカナダ代表としてオリンピックを目指す方法も考えられますが、今まで強化費用拠出して育成してきた日本が出場停止を要求すれば最大二年間の出場停止処分(2011年版オリンピック憲章の規則41細則2参照)を受ける可能性があります。
また、カナダでの代表枠争いも熾烈だとの指摘もあるようです。さらに移籍当初は金銭的支援を得るのも困難だとの指摘もあるようです。
(10)オリンピック出場を諦めて世界選手権のメダル獲得に専念する
高橋成美・トラン組は2012年世界選手権で銅メダルを獲得しましたが、それはオリンピックの谷間のシーズンだったので他国の選手の調整状況が低調だった(注4)事も理由と考えられます。もし仮に高橋成美・トラン組がソチ・オリンピックに出場できると仮定した場合でも高橋成美・トラン組と同程度か上の実力をソチ・オリンピックで発揮しうる可能性のある組は世界中に十組程度存在する(注4)と考えられます。オリンオピックでメダル争奪する場合、純粋な二人だけのペア競技でメダル獲得する可能性は低く、日本が男女シングルで優位に立てるオリンピック団体でもギリギリと考えられます(注5)。
しかし、最初からオリンピック出場を断念して調整のピークを世界選手権に照準を合わせれば、特にオリンピック直後で他の選手達の多くが気を抜く2014年や2018年の世界選手権は銀メダルの可能性も有るでしょう。これは、企業経営で「ニッチ戦略」として認められている戦略ですし、生物進化でも有効性が認められています。「災い転じて福となす」という事です。
注釈
http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2012/04/23/kiji/K20120423003101140.html
>世界国別対抗戦のエキシビションに出演したトランは、
>「五輪は誰もが目指す目標」と話し、関係者は「日本の一員として
>五輪に出たいという気持ちになった」と明かした。
となっており、注意して読めば、「五輪は誰もが目指す目標」というのはトラン選手の発言だが、しかし、「日本の一員として五輪に出たい」という部分は、匿名の関係者からの伝聞のみで直接の記者会見でないのがわかる。
尚、トラン選手のtwitterの記録twilog
で「Japan」「japanese」のキーワード検索でも、日本国籍を希望したり御願いしたりする発言はみつからなかった。
高橋成美選手の公式ブログ
http://ameblo.jp/narumi-takahashi/
にもトラン選手の日本国籍を希望したり御願いしたりする伝言は無いようである。
尚、トラン選手が日本国籍希望を表明せず御願いもしていない事は、意地悪く評価すれば常識が無いとも取れるが、好意的に評価すれば正直で誇り高く信用できる人物とも取れる。
(注2) 下記のスポーツナビHPの青嶋ひろの著のコラム「ペアスケーターであることの幸せ (3/3)」・高橋成美インタビュー(2010年12月中旬)参照。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/winter/skate/figure/text/201012240003-spnavi_3.html
>――そうなるとどうしてもファンの皆さんが期待するのは、井上選手や川口選手も出場した五輪のこと。高橋選手はどう考えていますか?
>
> 自分たちも、出られるのならば絶対出たいです!
>でも、今は2人の国籍が違うという問題があるので……。
>ただ、マーヴィン以外の人と五輪を目指すつもりは全くありません。
>五輪かマーヴィンか、どちらかを選べと言われたら、絶対にマーヴィンを取ります。
>マーヴィンは本当に素晴らしいパートナー。
>2人はすごく仲がいいから毎日練習も楽しいですし、演技にもその楽しい雰囲気が出ているかなと思うんですよ。
(注3) フィギアスケートのペア競技では男性選手が女性選手を持ち上げねばならず、女性選手の体重や体格に比して男性選手に十分な筋力と体重が必要となります。体型が同じなら体重は身長の三乗に比例しますので、身長が目安となります。(ただし、シングル競技の男性選手はヤセ型が多いので、もし仮にシングル競技の男性選手がペア競技に変更する場合は十分な筋肉をつけてガッチリ型の体型に変更する必要があると思われます。)
ちなみに、2010年のバンクーバー・オリンピックと2012年の世界選手権でのペア競技でメダル取得した組の男女の選手の身長差は下記のとおりで、平均的な男女の身長差(10cmないし15cm)より大きい事がわかります。
バンクーバーオリンピック
[ペア金]申雪(160 cm)趙宏博(177 cm)組・・・身長差17cm
[ペア銀]ホウ清(162 cm)トウ健(180 cm)組・・・身長差18cm
[ペア銅]サフチェンコ(153 cm)ゾルコーヴィ(175 cm)組・・・身長差22cm
2012年世界選手権
[ペア金]サフチェンコ(153 cm)ゾルコーヴィ(175 cm)組・・・身長差22cm
[ペア銀]ボロソジャル(159 cm)トランコフ(187 cm)組・・・身長差28cm
[ペア銅]高橋成美(146 cm)マーヴィン・トラン(175 cm)組・・・身長差29cm
上記の事を踏まえると、身長146cmの高橋成美選手と組む男性選手は身長165cm以上である事が望ましいのです。さらに、現在の日本には現役の男性ペア競技選手がおらずシングル等の他競技の男性選手か引退者からパートナーを選ぶとすれば筋力等で劣る事と、今まで高橋成美選手が身長175cmのマーヴィン・トラン選手と組んでいた事等の事情を考えると高橋成美選手と組む男性選手の身長はトラン選手と同程度の身長174cm以上は欲しいでしょう。もちろん、力や体重だけでなくバランスやタイミング等も重要なので、総合的な運動能力やスケーティング技術やバランス感覚も考慮すべきです。そのため、もし仮に、小塚崇彦選手のような高い運動能力と極めて高いスケーティング技術を持つ選手と組めるなら身長170cm(小塚崇彦選手の身長は170cm)でも十分許容範囲です。
(注4) 2012年の世界選手権に出場しなかったトリノ・オリンピックのペア競技で銀メダルを獲得した中国の張昊選手(トリノ・オリンピック当時のパートナーだった張丹選手は引退し、新パートナーと組んでソチ・オリンピックを目指すようである)や2012年の世界選手権でメダルを逃したバンクーバー・オリンピックのペア競技で銀メダルを獲得した中国のホウ清・トウ健組はソチ・オリンピックで金メダルを狙って来ると考えられ、彼等が本気でソチ・オリンピックに照準を合わせコンディション調整すれば、高橋成美・トラン組と同程度以上の実力を発揮する可能性が高いでしょう。
また、ソチ・オリンピック開催国のロシアも自国開催での活躍を目指しペア種目での世代交代を計っていると考えられソチ・オリンピックまでには複数の若い選手の組が高橋成美・トラン組と同程度以上の実力を発揮する可能性があります。尚、中国でもソチ・オリンピックまでに若手の組が実力を伸ばし高橋成美・トラン組と同程度以上の実力を発揮する可能性があります。
さらに、2012年世界選手権で8位に甘んじたアメリカのケイディー・デニー選手や12位に甘んじたカナダのジェシカ・デュベ選手もパートナー組み換え直後による成績不振の影響を考えると、ソチ・オリンピックでは高橋成美・トラン組と同程度以上の実力を発揮する可能性があります。
ただし、オリンピック団体戦でのペア競技については、中国・ロシア・カナダに上位選手が偏在するため、もし仮にオリンピック団体戦でのペア競技に高橋成美・トラン組が出場できると仮定すれば、団体ショート演技で4位(ただし、運が良ければ3位運が悪ければ5位程度)、シングル陣が弱体なドイツが団体フリー演技に出場できない(注6)可能性が高いため団体フリー演技で3位(ただし、運が悪ければ4位程度)になると私は予想しています。
(注5) 2012年のフィギアスケート国別対抗戦で日本は優勝しましたが、あれは日本が極めて弱いアイスダンスが最下位でも12点中7点も得点できるというシングル偏重の特殊なルールが原因でした。ソチ・オリンピックの団体戦では2012年国別対抗のようなシングル偏重のルールでなく、男女シングル競技とアイスダンスとペア競技を対等に扱うルールが採用される予定(注6)なので、ソチ・オリンピック団体戦では(仮に高橋成美・トラン組が出場できたとしても)日本が極めて弱いアイスダンスが足を引っ張って日本の男女シングル競技での優位を打ち消してしまうと予想されるため、(仮に高橋成美・トラン組が出場できたとしても)団体戦での日本のメダル獲得はギリギリの五分五分程度と思われます。
(注6) ソチ・オリンピックの団体戦のルールについては、ISU(国際スケート連盟)のHPで資料が公表されている下記の「Qualification Systems for the 2014 Olympic Winter Games in Sochi」のページのリンクからダウンロードできるファイルのうち「ISU - FS - QS -Sochi2014-2011-12-15.pdf」参照。
http://www.isu.org/vsite/vnavsite/page/directory/0,10853,4844-205151-222374-nav-list,00.html?id=986
尚、日本語の要点解説は2ちゃんねる掲示板の下記スレ参照。
【フィギュア】 団体戦 2014【ソチ五輪】
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/skate/1333539298/
(注7) まず、現役の上位選手の組み替え事例について、直近の2012年世界選手権のペア競技上位者で見ると、金メダル獲得したアリオナ・サフチェンコand ロビン・ゾルコーヴィ組の アリオナ・サフチェンコ選手もロビン・ゾルコーヴィ選手もパートナー組み換えで芽が出たと言えます。 銀メダル獲得したタチアナ・ボロソジャルand マキシム・トランコフ組は共に 組み換え直後から即効で良くなったようです。 8位のケイディー・デニー選手も組み換え直後の2011-2012シーズンで若干上向いているように思えます。 尚、逆に組み換えで成績不振になったジェシカ・デュベ選手は12位と成績不振でしたが、彼女の場合は、2年前に旧パートナーが故障治療のため手術して引退したため、2010-2011シーズン丸一年、試合から離れて いたという特殊事情が成績不振の原因であってパートナー組み換えが成績不振の原因ではないと考えられます。
尚、現役の上位選手だけでなく、すでに引退した選手の過去の事例で見ても上位選手や国家的支援を受けれる選手の場合には、経済的に余裕があり良いパートナーを選びやすいためか、下記の過去の上位選手のパートナー組み替え例のようにパートナー組み換えで好成績を出しているケースが多いように思われます。
組み替えによって成績が明確に向上した過去の(引退選手の)事例では、エレーナ・ベレズナヤ選手(2002年ソルトレイクシティオリンピックペア金メダリスト)、マリア・ペトロワ選手(2000年世界選手権ペアチャンピオン)、マンディ・ベッツェル選手 (1998年長野オリンピックペア銅メダリスト・1997年世界選手権ペアチャンピオン)がいるようです。
まあまあだったのは、イリーナ・ボロビエワ選手(1981年世界フィギュアスケート選手権ペアチャンピオン)、ジェイミー・サレー選手(ソルトレイクシティオリンピックペア金メダリスト)でしょう。
ペア組み換えが影響せずオリンピック金メダル獲得し続けたのは、イリーナ・ ロドニナ選手(1972年札幌オリンピック・1976年インスブルックオリンピック・1980年レークプラシッドオリンピックでの三度のペア金メダリスト)です。
(注8) トラン選手とラコステ選手が恋仲だというウワサがあるだけでなく、トラン選手のtwitterで、今年の5月下旬にはカナダ西部のバンクーバー(ブリティッシュ・コロンビア州)に一緒にカナダ国内旅行していたと考えられる写真が掲載されていたので単なるウワサでなく実際に親密な関係にある可能性が高いと思われます。
(下記のトラン選手の2012年5月27日のtwitterのつぶやきと写真参照)
http://twitter.com/skate_moivo/status/206458611994603521
(注9) ただし、トラン選手がカナダで高橋成美選手ほど小柄で優秀なペアの相手を探すのは現時点では困難と思われます。尚、ラコステ選手は身長155cmなのでペアのパートナーとして組めば身長146cmと小柄な高橋成美選手と組むよりはるかに苦労する事になると思われます。身長からするとトラン選手がラコステ選手と組むならアイスダンスの方が向いているかもしれませんが、カナダのアイスダンスのレベルは非常に高いのでアイスダンスでカナダ代表になるのは相当な才能と多大な努力が必要でしょう。
2012年6月7日 (2012年5月26日版はこちら)