(独立宣言すれば)澎湖・金門・馬祖の守備兵が囚人となる可能性

 

1.漢人主導の独立戦争:戦時国際法の適用がない可能性

  内戦であっても、民族解放戦争の場合にはジュネーブ条約第一追加議定書締約国(中国は締約国)では捕虜資格が認められます。しかし、それ以外の場合には中央政府の方針しだいです。たとえば、日本の場合なら自衛隊の部隊がクーデターを起こした場合、クーデターに参加した者は内乱罪で処罰されます。ただし、日本の場合にはジュネーブ条約第二追加議定書締約国でないので首謀者は死刑にできますが、中国の場合にはジュネーブ条約第二議定書締約国なのでたとえ首謀者でも死刑にはできません。(ちなみに、日本の場合にはジュネーブ条約第一追加議定書締約国でないので北海道アイヌや琉球人民が独立戦争しても捕虜資格が認められず内乱罪で処罰される可能性があります。)

   尚、台湾本島東岸・中央山岳地帯・蘭嶼島で原住民の兵士が拘束された場合はジュネーブ条約第一追加議定書の趣旨を尊重して捕虜資格が認められるべきですし、また、常識的に考えれば元・中国中央政府軍だった「中華民国政府軍」兵士には捕虜資格を認めるでしょう。しかし、漢人主導による台湾独立宣言(もしくはそれに相当する行為)をした場合には中国領の乗っ取りですので犯罪者として扱われる可能性があります。特に、明白な中国固有の領土である澎湖・金門・馬祖の守備兵は中国領乗っ取り犯として(中国本土での罪名は知りませんが)処罰される可能性があります。ただし、台湾が徴兵制を採用しているので独立宣言(もしくはそれに相当する行為)直後から犯罪人扱いするのは酷なので、犯罪人扱いするとしても独立宣言(もしくはそれに相当する行為)から2年半後以降になるでしょう。(ただし、保証はできません。)

2.制空権を握れば容易に上陸可能な澎湖諸島

  澎湖諸島は平坦な島ですので、対空火器や対艦ミサイルランチャーやクラスター爆弾ロケットランチャーは容易に発見されて破壊されます。また、澎湖諸島はいたる所が上陸可能でしょう。中国中央政府軍(人民解放軍)が台湾海峡の制空権と制海権を握れば、よほどの大ドジを踏まない限り上陸・制圧できます。ただし、台湾本島からの対艦ミサイルやクラスター爆弾ミサイルを迎撃できる能力がなければ密集集団隊形での上陸・揚陸作業はできませんので特殊部隊の上陸となり若干困難ですが、それでも制圧は可能です。

3.海上封鎖により兵糧攻めが可能な金門・馬祖

  金門・馬祖には地下要塞がありますので力攻めは非常に困難ですし、十分に注意せねば中国本土への反撃の危険もありますが、中国中央政府軍(人民解放軍)が周辺の制空権・制海権を握れば海上封鎖して兵糧攻めをすれば制圧可能です。

4.2004年2月3日の陳水扁提案の意図

  陳水扁の先日(2004年2月3日)の非武装地帯提案は(北京政府が蹴ったので内容は不明ですけが)おそらく澎湖・金門・馬祖の非武装と交換に中国本土福建省沿岸の中央政府軍(人民解放軍)のミサイル撤去等の非武装化を要求するものだったでしょう。澎湖・金門・馬祖が明白な中国固有の領土である事を考えると非常に図々しい提案だと言わざるをえません。「非武装」云々言うなら澎湖・金門・馬祖の施政権を北京政府に返還し台湾本島を一方的に非武装にすれば良いのです。

 尚、北京政府は台北政府が「一国二制度」を受け入れれば台湾軍の武装解除も不要としています。

 

2004年2月20日

浅見真規 asami@mbox2.inet-osaka.or.jp

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