たとえ話:賃貸マンション住人は多数決でマンション乗っ取りできるのか?

 

   (漢人系)台湾独立派は台湾の住民の多数決で台湾独立ができると主張します。そして、それが民主主義だと主張します。しかし、これこそ台湾の民主主義の未成熟さを示すものです。 たとえば、賃貸マンション住人は多数決で大家からマンションを乗っ取りできるでしょうか?また、道に財布が落ちていてそれを見つけた集団が全員一致でネコババして財布の金を山分けする事を決めたら民主主義なのでしょうか?そんな事はないはずです。それは民主主義とは言いません。台湾独立派は多数決さえすれば民主主義だと曲解しているのです。2002年、アメリカのロサンゼルス市から金持ちの多く住むハリウッド地区が分離・独立してハリウッド市を作る話がハリウッドの住民から出たそうですが、ロサンゼルス市から分離するにはハリウッド住民の多数決だけでなくロサンゼルス全体の了解が要るので分離・独立は認められませんでした。

  しかし、台湾総統の陳水扁は台湾住民だけでの住民投票による多数決で独立を画策しているようです。これが賃貸マンションの乗っ取りや道に落ちてた財布のネコババなら本来の所有者は警察に頼る事ができます。ところが、台湾独立派の行為が台湾乗っ取りであっても台湾の総統の陳水扁が台湾の独立を宣言しても中国本土の警察は彼を逮捕できないでしょう。台湾には軍隊があるからです。だとすれば、北京政府は軍事力によって台湾軍を排除せねば陳水扁が独立宣言しても彼を逮捕できないのです。つまり、台湾独立派の行為は戦争を誘発する危険のある挑発行為なのです。

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  台湾本島西岸・北岸は第二次大戦後に日本が放棄した台湾本島西岸・北岸を中国(中華民国政府)が実効支配したので「無主地」先占によって中国領(注)になったのです。しかし、第二次大戦後は国際法のパラダイムが変わって先住民の居住する土地を無主地先占の対象としての「無主地」とみなす事は許されない事になってますので台湾本島東岸・中央山岳地帯・蘭嶼島の各原住民族居住地区は暫定的中国領で各原住民が民族自決としての多数決で独立要求した場合には中国中央政府である北京政府も尊重すべきです。しかし、台湾独立運動の主体は「台湾人」と自称する漢人移民の子孫で漢人居住地域の西岸・北岸を含む台湾本島全体と明白な中国固有の領土である金門・馬祖・澎湖まで含めた独立を画策しているのです。

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(注)当時の中国国家元首だった蒋介石はカイロ宣言で日本が清朝中国から台湾を「盗取」したとして返還要求しましたが、日本が台湾を領有したのは朝鮮に対する支配権を争った日清戦争で勝った日本が清朝中国の植民地だった台湾の割譲を受けたので「盗取」ではありません。あれが「盗取」なら中国と共にカイロ宣言をしたアメリカは国土全体を先住民から「盗取」した事になりますし英国は海賊国家です。アメリカも英国も日本の台湾領有を批判できる国家ではありません。すなわち、台湾に関してはカイロ宣言は重大な矛盾を含んでいたのです。結局、日本はカイロ宣言を引用するポツダム宣言を受諾したのでカイロ宣言の趣旨を尊重して、すでに中華民国政府に引き渡した台湾をサンフランシスコ対日平和条約で正式に「放棄」し、すでに中国(中華民国政府)が台湾を実効支配していたので台湾本島西岸・北岸は無主地として中国(中華民国政府)の先占が成立し台湾本島西岸・北岸は中国領である事が確定したのです。

 

2004年12月28日(当初版2004年2月4日

 

浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp

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