[注意]: 以下の記事は北朝鮮の独裁者・金正日死亡以前の記事です。


36. ペリー元国防長官案は実現されるか?

 

ペリー元国防長官の強硬発言の主眼は(少なくとも表面上は)、北京政府や韓国が北朝鮮への食料・燃料支援を止めないなら北朝鮮が建設中の年間10個の核爆弾製造能力のある核施設への攻撃すべしとの事で、外交交渉を優先させるものではあるが、韓国はともかく北京政府は「中朝友好協力相互援助条約」から援助義務が生じるので、(北朝鮮が行動をエスカレートしなければ現時点では)援助は止めないであろう。

 

つまり、ペリー元国防長官案を採用すれば、結果として、アメリカは北朝鮮が建設中の各施設への先制攻撃をせざるをえなくなるが、安保理決議の標準的解釈を超えて軍事攻撃すればイラク戦争と同じであって国際世論やアメリカ国内世論の反対にあうであろう。特に、北朝鮮から報復として核攻撃を受ける可能性のある日本や韓国は反対するであろう。もし仮に、日本や韓国から出撃できなければ攻撃に制約が大きく軍事的にも攻撃が不完全となるリスクを伴う。

 

そういうわけで、いくらペリー元国防長官の限定攻撃論が効果的であっても実現の可能性は低いだろう。しかし、そういう選択肢もある事をちらつかせる事は北朝鮮を交渉の場に引きずり出すのには有効かもしれない。


上記は、Yahoo Japan掲示板・台湾カテゴリ・[ 北朝鮮問題と台湾が見捨てられる危険 ]トッピックに私が true_masanori_asami というハンドル・ネームで2007/ 1/20に投稿した記事・No.36の転載である。

 

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浅見真規 ( vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp  )