なぜ、(漢民族系)台湾本省人は日本を恨まないのか?

 

問題の所在

韓国人には日本に殖民地支配された事を恨む人が多いですが、台湾も韓国と同じように殖民地支配されたのに(漢民族系)台湾本省人は日本を恨む人が少ないらしいです。この事をもって、韓国人を批判する日本人がいます。(注1) しかし、それは、韓国人と(漢民族系)台湾本省人の状況の差というのを無視しています。

 

状況の差

韓国の場合には有史以来、先祖代々住んでいた本国が併合(注2)され消滅させられたのです。その精神的屈辱感は大きなものがあったと思います。一方の(漢民族系)台湾本省人にとって台湾は本来は他民族の台湾先住民の島であって、日清戦争で敗北した中国の国民だったわけですから追い出されたり財産没収されたりしなかっただけでも儲けものだったと感じたのでしょう。また、清朝中国領だった時も、すでに異民族の満州族に支配されていたわけですから、異民族国家の日本に支配されても精神的屈辱は感じなかったのだと思います。

さらに、戦後、中国大陸から台湾に渡ってきて台湾を支配した同じ漢民族の蒋介石の率いる国民党の仕打ちが日本の支配より過酷だった事も相対的に日本の支配が良かったと感謝する理由にもなっているようです。

そして、現在、大陸中国と政治的に対立する状況下で日本の支持を得たいという政治的思惑もあって余計に日本に好意的なのかもしれません。

 

浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp

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(注1)たとえば、西尾幹二氏は、その著書「国民の歴史」(初版・第2刷)p.706-709 で、「韓国人にいくら言っても伝わらないもどかしさ」と題して、台湾では最近、教科書で日本の統治を肯定的にとらえ日本に感謝しているのに対し、韓国人は逆恨みばかりして困るとの論調で「暗黙のうちに朝鮮人が台湾人を侮辱しているという結果になりはしないであろうか。」 p.707とまで言って韓国批判をしています。これは、韓国と台湾の歴史の差を無視した大暴言でしょう。

(注2) 日本や英国の学者の中には日本の韓国併合が当時の国際法では不法ではなかったとする者もいる(産経新聞ニュースHP・ 2001年11月27日記事参照)ようですが、仮に併合が不法でなかったとしても、韓国の場合には一般民間人が精神的屈辱感を感じるのは自然な事でしょう。