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福島第一原発の地下水汚染防止対策としての地下ダム(遮蔽壁)案に対する疑問と埋め立て案提唱

 

福島第一原発の核燃料のメルトスルー対策として「地下ダム(遮蔽壁・地下バウンダリ)」設置を提言する主張があり、東京電力も設置を検討したが1000億円とも見積もられる費用による債務超過を怖れて国の支援がないと設置事業を前倒ししないと主張しているそうである。

(毎日新聞HP記事参照)

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110622k0000m020084000c.html

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110620mog00m040005000c.html

 

(朝日新聞社(Astand)HP記事参照)

http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/articles/2011062700006.html

 

小出裕章・京都大学助教が提唱され、東京電力も国の援助を前提にしてではあっても計画し、一説には政府も乗り気とも言われる案であるが、現時点では私は下記のようないくつかの疑問を抱いている。また、原発岸壁周辺埋め立てと原発専用港封鎖も対案として考慮すべきと考える。

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(1)最大の問題点は、地下ダム(遮蔽壁)設置工事は作業員に被曝をもたらす難工事だからである。特に、地下ダム必要論者の仮定どおり核燃料が原子炉建屋地下の床コンクリートを突き破って落下し地下水に高濃度の放射性物質が混入していた場合には湧水によって地下ダム(遮蔽壁)設置工事の作業員が極めて大量の被曝をする危険がある。

 

(2)次に問題なのは、タービン建屋は海に極めて近く実質的には地下の取水管・放水口で海に接しており、原子炉建屋も海に近いので地下ダム(遮蔽壁)設置工事によって逆に海を汚染拡大させる危険がある事である。

 

(3)地下ダム(遮蔽壁)設置工事の場所や方法次第では原子炉建屋やタービン建屋を不安定にさせる危険がある事である。

 

(4)(東京電力の報告が正しければ)原子炉建屋は泥岩岩盤上に建設されているはずであり、地下水を通しにくいはずなので地下ダム設置工事の必要性が低い。

 

(5)現時点では核燃料の位置が不明であり、核燃料が原子炉建屋内にあればホウ酸を含む水で水冷を続ければそれ以上の落下を防げるならば地下ダム(遮蔽壁)設置工事が不要となる可能性がある事。逆に、もし仮に、「みまもりファームの栽培日記」の推定のように核燃料が地下100m以下に落ちていれば地下50m以浅の地下ダム(遮蔽壁)は設置の効果が限定的である。

(「みまもりファームの栽培日記」記事参照)

http://hamanora.blog.ocn.ne.jp/kaiin02/2011/06/post_8986.html

http://hamanora.blog.ocn.ne.jp/kaiin02/2011/06/post_7053.html

 

(6)粘土がセシウムを吸着しやすいので地下ダム(遮蔽壁)設置よりも、原発敷地の岸壁周辺を埋め立てたり原発専用港を封鎖した方が効果的である可能性が高い事。

 

(7)仮に地下ダム(遮蔽壁)が必要だとしても、現時点では優先すべき作業が多く、地下ダム(遮蔽壁)設置工事が優先度の高い工事の妨げになったり作業員不足を招いたりする可能性がある事。


2011年7月3日 

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浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp