福島県中通り地方と千葉県柏市に放射性セシウム沈着量が多い理由

 

 

文部科学省HP資料「文部科学省による東京都及び神奈川県の航空機モニタリングの測定結果について」PDF

http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/10/1910_100601.pdf

の末尾のセシウム137の沈着量地図を見ると、

福島第一原発から飯舘村に向かう赤色や黄色で着色された高汚染地域以外に、福島県中通り地方に青色で着色された高汚染地域があり、千葉県でも柏市に比較的放射性セシウム137汚染の高い地域がある事がわかる。これはセシウム137化合物の相当部分が後述のように重いガス状で盆地や低地に溜まりやすく、また、[松村宏, 斎藤究, 石岡純, 上蓑義朋(2011)]に示されているように霧中の微小水滴に溶け込んで捕捉され霧雨として降下し沈着したため、盆地地形の福島県中通り地方に閉じ込められたり、湖沼の多い利根川水系下流低地に隣接する柏市付近で多く滞留沈着した事が原因と私は考える。

3号機原子炉建屋爆発時には高温だったためヨウ化セシウムや塩化セシウムも気体として放出されたと考えうるが、福島県中通り地方や千葉県柏市付近では常温に冷却されていたはずである。しかし、放射性セシウム134や137の化合物であるヨウ化セシウムや塩化セシウムや酸化セシウムは多量に存在すれば常温では固体になるが、放射能として高い濃度でも質量とすれば微量なので大気中に極めて微量に存在する場合は互いに出会って結合するまでガス状で存在する可能性がある。

実際、福島第一原発構内では粒子状固体だけでなく揮発状態でも存在するようである(注)。ちなみに水分子も氷点下で極めてわずかだがガス状の水蒸気で存在しうる。


重要参考資料:

高エネルギー加速器研究機構と理化学研究所の松村宏, 斎藤究, 石岡純, 上蓑義朋の各氏が3月15日に車に計測器を積んで福島市から郡山市に移動する途中で放射性物質を含む空気に遭遇したとする下記の研究報告参照。

[ 高速道路上の放射線分布測定より得られた福島第一原子力発電所から飛散した放射性物質の挙動 ]

http://ccdb4fs.kek.jp/tiff/2011/1127/1127002.pdf

>阿武隈山地と奥羽山脈に挟まれた福島県中通りにある両市に

>おいて,飛散してきた放射性物質を含む空気を受け止める形となり,

>さらに天気が霧雨であったため,133Xe以外の到達したほとんどの

>放射性物質は短時間に両市で降下し沈着した。


(注) 下記の東京電力HP資料参照。

http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110325h.pdf


2011年10月15日

浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp