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 公的資料から中国名と英語名を確認する方法

 

   尖閣諸島問題を考察する上で最初の難関は島の名称の問題である。ここでは日本の公的資料から尖閣諸島の島のうち魚釣島・久場島・大正島の中国名と英語名の確認方法を示す。

   まず、「国会図書館デジタルコレクション」 (http://dl.ndl.go.jp/) で公開されている旧・日本海軍の水路部 (注1-1) (注1-2) 作成の『日本水路誌・ 第2巻 (明治27年刊行)』 (http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/847180) のp.345 及び p.346 の緯度・経度を国土地理院の「地理院地図」 (http://maps.gsi.go.jp/) の照合によって確認する。

   

 

ここで、「ラレー岩 」は「北緯25度55分 東経124度34分」とあるので、国土地理院の「地理院地図」 (http://maps.gsi.go.jp/) で検索すると、

画面左下の「+」をクリックして拡大すると、

   位置を示す十文字のカーソルは大正島の南東約1kmの海上となるが、明治時代の測量の精度等を考慮すれば、周辺海域で該当する島は「大正島」のみであるので「ラレー岩 」は「大正島」に比定 (同定) される。同様にして『日本水路誌・ 第2巻 (明治27年刊行)』 (http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/847180) のp.345の「ホアピンス島」が緯度・経度と標高から「魚釣島」に比定 (同定) される。さらに、同様に緯度・経度からp.346が「久場島」に比定 (同定) される。

   中国語名と英語名の対応は『日本水路誌 第2卷 附録 第一改版 (明治35年刊行)』 (http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10304272) のp.49参照。

   尚、「釣魚嶼」・「黄尾嶼」・「赤尾嶼」が中国語である事は清朝中国から琉球に赴いた冊封使 (副使) の徐葆光の著書『中山伝信録』・第一巻 (注2) 参照。

   また、「 Hoa pin su 」・「 Ti a usu 」・「 Raleigh rock 」 が英語名である事は、英国水路部(Great Britain. Hydrographic Dept)による『The China Sea Directory』第3巻・第二版 p.302-304参照 (注3)


付記:

   また、別の方法として、「大正島」の中国名が「赤尾嶼」で、「久場島」の中国名が「黄尾嶼」である事は国土地理院発行の旧版の地形図『魚釣島』(昭和63年編集・平成1年発行)からも確認できる。尚、国土地理院発行の旧版の地形図は国土地理院の地方測量部等で閲覧できる (注4)

  


目次

2019年8月31日 (2019年8月24日・当初版は こちら。)

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浅見真規 vhu2bqf1_ma@yahoo.co.jp


(注1-1) 下記urlの国立公文書館による [ アジ歴グロッサリー ] の「水路部」項目の解説参照。

https://www.jacar.go.jp/glossary/term3/0010-0080-0110-0160.html

>水路部は水路の測量、海図の製作、水路誌の編纂、気象や海象の観測など、航海の保安に関することを担った海軍の組織。

 

(注1-2) 下記urlの海上保安庁の海洋情報部のホームページの記事・[ 海洋情報部のあゆみ(沿革) ] 参照。

https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KIKAKU/jhd_history.html

 

(注2) 徐葆光 著・『中山伝信録』は早稲田大学図書館がインターネット公開している。

http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/bunko08/bunko08_c0123/

その第一巻の下記urlの部分に「釣魚嶼」・「黄尾嶼」・「赤尾嶼」の文字がある。

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko08/bunko08_c0123/bunko08_c0123_0001/bunko08_c0123_0001_p0026.jpg

尚、針路図では「釣魚嶼」の表記は「釣魚台」となっている。

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko08/bunko08_c0123/bunko08_c0123_0001/bunko08_c0123_0001_p0020.jpg

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko08/bunko08_c0123/bunko08_c0123_0001/bunko08_c0123_0001_p0021.jpg

 

(注3) 尚、英国水路部(Great Britain. Hydrographic Dept)による『The China Sea Directory』第3巻・第二版は、the Internet Archive にCornell University Library蔵書の画像がMSNによる支援で下記urlで公開されている。

https://archive.org/details/cu31924071164986/page/n6

 

尖閣諸島に関する記事はp.302の下部からp.304の半ばまでで台湾北東の諸島("ISLANDS NORTH-EAST OF FORMOSA")の一部として解説されている。

 

(注4) 下記urlの国土地理院ホームページ記事参照。

https://www.gsi.go.jp/MAP/HISTORY/etsuran.html